表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
562/644

質問10

 言ってる意味がよく分からず俺たちが沈黙していると、グランツさんは口の端を上げて笑みを形作り、言葉を続ける。


「よお。端から《ギフト》を持っているやつがレベル100に到達したら、どうなると思う?」

「……え?」


 それは誰もが思ってもみなかった質問だった。

 ……いや、待て。そんなことがあり得るのか?

 《ギフト》を発現させるためには条件が存在している。だが、それをすでに取得している者が《ギフト》を手に入れるための条件を満たしたのなら、それは……。


「その顔は分かったみてぇだな。そうだ。戦姫ってやつは、レベルが上限に達した時、二つ目の《ギフト》を獲得するのさ」

「!?」


 その馬鹿げた発言に思わず体が震えてしまい、それが椅子に伝わって音を立てる。

 だって、それはいくらなんでも規格外が過ぎるから。

 ただでさえ早い段階で《ギフト》を所有していることで、他者よりも先んじた成長をみせている戦姫という存在が、さらにもう一つその力を手に入れるなんて、あまりにも異常なことで寒気さえする。


「あぁ、そういやあ最初にアスマがした、アンネローゼがなんで《ギフト》を持ってるのかって話だが、そいつは未だに理由がはっきりとしていない。そもそもこういった例があまりにも希少でな。俺が把握しているのもたったの十人程度のもんだ。だから、こいつを真似することは誰にもできねぇってわけだ」


 たったの、十人。

 いや、むしろグランツさんが確認できているだけで十人もそんな化け物じみた力を持った者がいる、ということか。

 その中の三人が戦姫と呼ばれている存在であり、戦場における最高戦力の一角。

 ただ《ギフト》を持っているというだけでも強大な存在なのに、そんなやつが最低でもあと七人はいるという事実に、驚愕を隠しきれない。


「そいつらなら、人としての枷を壊して可能性の向こう側に行くことができるかもしれねぇ。可能性の話だけどな」


 一人言のように漏らしたそれがどういう意味なのかは分からないが、彼はそこになにかを期待しているようで、その表情からは様々な感情を窺い知ることができた。


「ま、ただこんなことを言っておいてなんだが、お前らもそう悲観することはねぇよ。《ギフト》には希にかなり特殊な力を秘めたものもあってな、そいつを引き当てることさえできりゃ、もしかするとそいつらに匹敵することができるかもしれねぇからな」


 と、ある意味で直前の言葉を否定するようなことを言ってみせたグランツさんは、フッと鼻で笑ってみせ、仕切り直すように「さて」と言った。


「長々、ってほど長くも話しちゃいねぇが、《ギフト》に関して教えてやれることはこんなもんだな。細かい説明は今してもしょうがねぇし、お前らが気になったことについては今から答えてやるからなんでも言ってみろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ