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質問6

 にやりと笑い、グランツさんはアンネローゼに魔道具に触れるようにと指示を出す。

 それに従い彼女が中央の球体に手を伸ばすと、それが発光し、石盤全体に文字が浮かび上がる。

 そして、光が収まった後、グランツさんに促されるようにして、まずは俺とミリオがアンネローゼの左右から手を伸ばし、鑑定石に触れてみせる。

 すると、頭の中に彼女のステータスなどの情報が流れ込んでくると同時に、《ギフト》の情報も流れ込んできた。


【アンネローゼLv36──ギフト《槍術》Lv40」】


 その他にも細かいステータスなどの情報が浮かび上がってくるが、どれもが俺のステータスとは比べ物にならないほどに高く、本題とは関係のない部分で劣等感が刺激されてしまう。

 ……まぁ、そんなことは置いておくとして。この《槍術》というのがアンネローゼの《ギフト》なんだろう。

 まんまだな。とは思うけど、これが才能を開花させる類いのものであるのなら、むしろこれが正解だろうし、なにより実際にその効果はしっかりと発揮されてるわけだしな。

 それよりも気にしなければいけないのは、その《槍術》に付随されているLv40という数字の方だ。

 それを見た瞬間にいくつかの憶測が頭の中に浮かんだが、たぶんこれが意味するところは──


「おい、確かめたんならさっさと代われや。俺ぁまだ見てねぇんだからよ」

「っと。あぁ、ごめん。そうだね、代わるよ」


 と、ガルムリードが上げた声に思考が中断され、そちらへ視線を向けてみれば、ミリオが場所を空けて彼にその場を譲っているところだった。

 それに気づいて隣を見れば、クレアも興味深そうに今か今かと順番を待っていたので、「悪い悪い」と軽く謝り、その場を譲り渡す。


「はぁん、こいつが《ギフト》ってやつか」

『……《槍術》Lv40……かぁ』


 そうして、二人も鑑定石に触れることで読み取った情報を元に、《ギフト》というものについてそれぞれが何かしらの考えを巡らせているようだった。


「……あん? なんだこりゃ」


 だが、そうしている内になにか気に掛かるようなことでもあったのか、ガルムリードが眉根を寄せて険しい表情を作り、声を上げた。


「どうした、ガルム。なんかあったのか?」

「どうしたもこうしたもねぇだろうが。てめぇはこいつを見てなにも……」

「ん?」


 途中で言葉を止めたガルムリードは、「あぁ、そういや分かんねぇのか」と、呟いて頭をがしがしと掻き、ミリオに目配せをする。

 それを受けたミリオは一度頷いてみせると、こちらへ向き直り「あのね」と、言葉を切り出す。


「アスマは僕らのステータスを見たことってなかったよね?」

「え? あぁ、ないけど」

「だよね」


 ミリオらしくない、要領を得ない言葉にどう反応していいのか困っていると、彼は珍しく戸惑うように口を開いた。


「その、アンのステータスなんだけど。僕のものと比べると、明らかに数値が高いんだよ」

「……あー、そうなんだ。それも《ギフト》の効果ってやつなのかな?」


 まぁ、前々からそういう節はあったからそこまで驚きはしないけど、少し突っ込みづらい話ではあるよな。

 なんていうか、そういうのってわりとデリケートな問題というか、俺もそうだけど、自分よりも優れた相手を見ると劣等感を感じちゃうことだってあるし。

 しかもミリオからすれば、レベルっていう指標がはっきりと見えちゃう分余計に分かりやすいというか。

 ……なんだろ。流れ的にこの先にも触れた方がいいのかな?

 ……うん。まぁ、聞いてみるか。


「ちなみになんだけど、それってどれぐらい高いの?」

「……嫌になるぐらい、かな」


 そう言ったミリオの顔は、若干引きつっていて、それが本心から出た言葉なんだということが分かってしまう。

 それほどまでに衝撃を受けるって、一体どれだけの差があったんだよ。と、少し怖くなってしまう。

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