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質問5

 その本人は話についてこれなかったせいか、眠たげにうつらうつらとしていたが、みんなの視線が一斉に集まったことにハッとしたようで、それを誤魔化すように笑みを浮かべ「なになに?」と言って顔を巡らせる。


「ははっ。いや、アンは強いねって話をしてただけだよ」


 そんな彼女に向け、隣に座っていたミリオが答えになっているのか微妙な返事をしてみせると、よく分かっていないような表情を浮かべつつも、納得したように「うん!」と大きく頷いてみせた。

 そして、ミリオはグランツさんに向け「そのまま続けて」とばかりに手のひらを向け、先を促す。


「おう。そんじゃ、ガキ共が寝ちまわねぇうちに、そろそろ本題に入るとするかよ。おい、テレサー!」


 と、ついに《ギフト》についての説明を始めてくれる流れになったところで、グランツさんが大きな声でテレサさんを呼びつける。

 すると、「はーい!」という返事が聞こえ、グランツさんの指示で扉を開けた状態で待っていると、鑑定石を抱えた彼女がやってきた。


「お待たせしました」

「おう。そこに置いてくれ」


 グランツさんがそう言うと、彼女は「横から失礼しますね」と、アンネローゼの隣に立ち、テーブルの上にそれを置いてみせ、そのままグランツさんの後ろに控えるような形で待機している。


「お前らの中でこの魔道具について知らねぇやつはいねぇよな?」


 俺たちに向けてそう確認を取ってくるグランツさんに、各々が頷いてみせると、彼も「よし」と頷く。


「お前らが今疑問に思ってるのは、なんで自分たちと大してレベル差もないアンネローゼがこんだけ強ぇのか。もしかしたらその強さの秘密は《ギフト》ってやつにあるんじゃねぇか。って、とこだよな?」


 その確認に再度頷いて応える。


「なら答えは簡単だ。その通り。《ギフト》ってのはそいつの内に眠ってる力──いわゆる潜在能力ってやつを手っ取り早く引き出すための力でな、それを持ってるのと持ってないのじゃ、歴然とした差が生まれちまうってわけだ」


 なるほど。潜在能力の解放、か。

 そう言われてみると、たしかに今まで《ギフト》という言葉を聞いた場面は、どれもその個人が突出した技量を見せた時だったような気がする。

 つまりは、アンネローゼであれば槍の才能。クレアであれば魔力操作の才能。というように、各々に見合った才能の開花を促進させるような効果を持った力が《ギフト》というものであり、だからこそシャーロットやニーアさんはクレアの技量を見てあんなに驚いていたというわけか。

 《ギフト》を持ってもいないのに何故、と。


「どんな《ギフト》を得られるかはそいつの資質次第なもんで、よほどのことがない限り正確なことは言えねぇ。だがまぁ、こいつがどんなもんかを知るには、てめぇで確認すんのが一番早ぇからな。今からそいつのお披露目といこうじゃねぇか」

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