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質問4

「もちろんだが、安定して上位の魔物を倒せるようになるまでは、上のやつらの力を借りるのも一つの手だ。というか、ギルドとしてはそいつを推奨してる」


 まぁ、たしかに安全面を考えるならそうするのが妥当なところだろうとは思う。

 経験者を伴っての魔物討伐がどれだけ助かるのかは、俺が身をもって知っていることだし。

 ただ、俺たちはそういう繋がりを持っていないし、そもそも手を貸してくれるような人材がいるのかも怪しいところだ。

 それぐらいはこの人も分かってるはずなんだけどな。


「なにか言いたそうな顔をしてるが、今のお前らになら手を貸そうってやつはそれなりにいると思うぞ。なんせ、結局のところ冒険者ってやつらは理由はどうあれ、強くなりてぇと思ってるやつらの集まりだからな。上を目指すために必要な人材を確保するためなら、いくらでも協力してくれるだろうさ」


 グランツさんはにやりと笑ってそう言い、さらに続ける。


「今を生きてる俺たちにとって大事なのは、これから先をどんだけ自分の理想どおりに進んでいけるか、そいつを見定めることだ。そこには過去のいざこざなんてもんは関係ねぇ。それが必要だと思ったんなら全力で取りにいけばいい。他がなにを言おうがな」


 ……その言葉はある意味では俺たち、とくにミリオとクレアに強く向けられたものなんだろう。

 それをやるんだと決めたのなら、過去にあったことなんて気にせず、自分の思い描いた最善の道を突き進めと。

 その道中に困難が待ち受けているのなら、どうでもいい他人の言葉なんかに惑わされることなく、取れる手段は全部取れと。

 そんな風なことを、グランツさんは言ってくれているんだろう。

 少し深読みしすぎかもしれないけど、この人はそういう気遣いを平気でしてくるような人だから。


「感情的に割り切れないやつも中にはいるだろうし、そいつの考えを否定するつもりもねぇ。だが、あの戦いを見て、それでも自分の気持ちを優先してその価値に目を向けないようじゃ、そこから先に行くことはできねぇよ。絶対にな」


 そう言い切って、グランツさんは椅子の背もたれに体重を預け、腕を組んでみせた。

 ……というか、さっきのニーアさんたちとの戦い、どこからか見てたんだな。

 いや、まぁ、そりゃ見てるか。

 たしか、ニーアさんが言ってたはずだ。あの戦いは俺たちの資質を確かめるだけでなく、見ている者の向上心を煽るためだとかなんとかって。

 その結果次第では、良い影響が出るか、悪い影響が出るかは分からなかったわけで、それを踏まえて観戦していたとしてもおかしくはない。


「誰かの手を借りるかどうかはお前らで決めればいい。俺から強制するつもりは一切ないからよ」


 これ以上自分はそのことについて一切触れないから、とばかりに手をひらひらと振ってみせるグランツさん。


「ま、それにだ。そいつがいれば大抵のやつはなんとかだろうし、一年ありゃ壁は越えられるだろうしな」


 そう言って彼は、アンネローゼの方を顎で示してみせた。

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