質問2
「……ほ~ん。で、俺にその説明役を押しつけていきやがったってわけかよ。あいつは」
「まぁ、そういうことになるのかな。たぶん」
冒険者ギルド。
執務室にて、グランツさんを前に、先程のニーアさんとの会話を大まかに整理して伝えると、彼は面倒臭そうに顔をしかめ、彼女たちが出ていった西門方向へと顔を向けていた。
「七面倒臭ぇことしやがって。一度てめぇが引き受けたんなら、てめぇが責任持って教えていきやがれってんだ。俺への当てつけのつもりかよ」
当てつけというのは以前彼女が言っていた、どれだけ頼んでもグランツさんが自分とは戦ってくれないという件に関してだろうか?
まぁ、俺としては誰が説明してくれても構わないのでそこについてはどうでもいいけど。
「ちっ。ま、しゃあねぇ。疑問を疑問のまま抱えさせててもろくなことにならねぇのは目に見えてやがるし、俺が教えてやるよ。《ギフト》についてな」
そう言って、嫌々ながらも了承してくれたグランツさんは、視線と身振りで俺たちに着席を促してきたので、全員が素直にそれに従う。
その全員の中には戦姫の二人──ニーアさんと、レウナーレさんは含まれていない。
彼女たちはすでにこの街を後にし、次の目的地へと向かってしまったからだ。
──先程、ニーアさんが俺たちに《ギフト》についての説明をしてくれようとしていた時。
丁度そのタイミングで、ギルドからこちらへ戻ってきていたソニアリスさんと合流し、軽く言葉を交わした。
そして、彼女の「どうせならガルムリードにも同時に説明すればよいのでは?」という発言を受けた結果、あれよあれよという間に話が進んで、なにがどうなったのか分からない内に、グランツさんが説明を行う流れになってしまったわけだ。
その彼女たちの見送りを済ませた後、すぐにガルムリードも目を覚ましたので、こうして今俺たちは卓を囲んでグランツさんへと視線を向けている。
「あー、どこから話したもんか……。そうだな。お前らはレベルの上限がいくつかってのは知ってるか?」
レベルの上限、か。
基本的に俺には関係のないものだから考えたことがなかったけど、まぁ、あってもおかしくはないよな。
定番でいえば100とか200。もしくはもっと上の1000とかか?
とりあえずキリのいい数字なんじゃないかと勝手に思ってるけど、どうなんだろ?
それを知っていそうなミリオへ、ちらりと視線を向けてみれば、彼は一度顎に手を当て考える仕草をした後、グランツさんへ視線を送りその口を開いた。
「噂程度でしか聞いたことはないけど、だいたい100レベルが限界値だって言われてるよね」
「おう。俺もそう聞いた覚えがあんぞ。で、どぉなんだ?」
ミリオとガルムリードの二人がグランツさんに向けてそう言うと、彼は「あぁ、その通りだ」と肯定の返事と共に頷いてみせる。
そうか、100がレベルの上限なんだ。
というか、今そんな話をしたってことはそれが……。
「んで、レベルを上限の100に到達させんのが、《ギフト》って力を手に入れるための条件だ」




