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戦姫として6

「あぁ、やれるだけやってみればいいさ。強さを求め続けていれば、その過程でなにかを掴める可能性もあるだろう。頑張れよ、少年」


 簡素な応援の言葉をミリオへと掛けてみせたニーアさんは、彼が「はい」という返事と共に頷くのを見届けた後、こちらへと視線を送ってきた。


「それで、君たちはどうする? 彼のようにアンネローゼを追ってくるか? それとも、君たちは彼らとは別の道を歩む?」


 その質問は俺とクレア二人に向けられたもののようで、俺たちは互いに視線を交わし、そこに映る感情を読み合う。

 そして、ある程度の確認を終えると、一度自分の中で言葉を整理してからニーアさんに向き直る。


「その、何年か後の話なんで、今すぐに答えを出すことはできないんですけど。たぶん、自分たちがそちらに行くことはないと思います」


 確定はできないが、今の自分が持っている気持ちから出た答えを正直に口にすると、隣でクレアも頷いてみせたのが視界の端に映った。


「ふむ。その理由は?」

「あの、さっきクレアが言ってたと思うんですけど。そもそも俺たちはそこまで戦うことが得意じゃないんですよ。特に人同士で命懸けの殺し合いなんて絶対にしたくはないです」


 それを言うなら冒険者なんて職業はやるべきじゃないんだろうが、一応それは目的があってのことだし、基本的に戦闘は魔物としかしない。

 戦う時もこちらが優位を取れるよう、事前の準備なんかはしっかりしているから当初思っていたほど危険なものではないしな。

 ……場合にもよるけど。


「まぁ、本当にどうしようもない場合は覚悟を決めて反撃もするでしょうけど、自分たちからその世界に飛び込んでいこうっていう気持ちには、やっぱりなれないというか」


 これはたぶん、よっぽどのことがない限りは変わることのない俺という人間の感性であり、クレアもそれは同じだと思う。

 だから、それをしなければならない時は、俺もクレアも、今のままではいられないだろうな。


「そっかぁー」


 それを聞いていたアンネローゼが呟くようにそう漏らすが、直前のミリオの言葉があったおかげかそこまで落ち込んでいる様子もなく、不必要な罪悪感まで感じさせられることにならなかったのは正直ありがたかった。


「ふむ。やはりそうなるか。うん、ならばこれ以上はなにも言うまい。君たちは君たちなりの高みを目指して頑張っていくといいさ」

「はい、ありがとうございます」


 クレアと共に軽く頭を下げて礼を言い、その後にアンネローゼの方へと向き直る。


「ごめんなアンちゃん。そういうわけで俺たちはいけないけど、会いに行くぐらいはできると思うから、そのうち絶対にそっちに行くよ。約束する」

「うん! アー君もクーちゃんも遊びにきてくれるの待ってるね!」


 アンネローゼの言葉に「あぁ」と頷いて答え、笑顔を返してみせた。

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