挑戦16
『ミリオッ!』
思念で叫ぶと同時に、片手でアンネローゼのベルトを掴み上げ、真上に跳躍してそれを躱す。
だが、そう簡単に戦姫が見逃してくれるわけもなく、彼女は途中で剣を止めてみせると、それを両手に持ち変え──
「《アースウォール》!」
斬り上げてくる。その寸前、ミリオの魔術による土壁が地面から突き出す。
戦姫の剣がギリギリ届かない距離に出現したそれの上部に、剣を握ったままの拳を叩きつけ、一気に体を持ち上げることで斬撃を回避。
そして、真上にアンネローゼを放り投げ、壁面を蹴りつけて戦姫へ向けて飛び掛かり、その勢いを乗せた斬撃を放つ。
「おぉぉらっ!!」
戦姫の振り上げた剣を躱す軌道で頭部を狙ったその一撃は、しかし、高速で腕を引き戻し頭を守るようにかざされた剣に受け止められる。
さらに、戦姫は手首を返して剣を立て、俺の剣を真横からの力で押し出すと、わずかに体勢の崩れたこちらに強烈な蹴りを繰り出してきた。
──俺がそれを待っていたとも知らずに。
『アクティブスキル《強制発動》起動──パッシブスキル《赤殼》限定発動』
瞬間。
目で捉えるのも難しいほどわずかに煌めくような赤光が全身を覆うように走り、戦姫の蹴りの軌道上に《赤殼》で守られた腕を突き出す。
「ふっ!」
鋭い呼気と共に放たれた蹴りは、それでも止められるようなことはなく、そのまま俺の腕ごと蹴り飛ばすような勢いで迫り、大きく開いた手のひらに収まるようにして、衝突する。
「っ?」
直後。
《赤殼》によって生じた違和感に反応を示す戦姫だが、それを押し切るように剛脚を振るい、障壁は蹴りを受け止めることができずに意図も簡単に砕け散る。
が、防御壁として蹴りの威力を殺すという役目はしっかりと果たしてみせ、相応に勢いの弱まったそれを受け止め、掴み取り、体を捻ると同時に全力で真後ろへと振るう。
「くらえっ!!」
そして、振り向いた先では邪魔な土壁は解除されており、無事に着地を果たしたアンネローゼが構えた槍を放ち、さらにミリオが戦姫が叩きつけられる地点を予想して《アースグレイブ》を発動し、それぞれが全力で放った一撃が一斉に彼女へ襲い掛かる。




