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挑戦11

 俺のその傲慢な願いを叶えるように、スキルの取得を告げる声が頭の中に響く。

 獲得したのは《強制発動》という、どこか物々しさを感じさせる名前のスキル。

 だが、この場面、この状況で得た力を行使しないという選択肢はなく、一切躊躇せず効果が不明なそのスキルを発動させる。


『アクティブスキル《強制発動》起動──パッシブスキル《起死回生》限定発動』


 《強制発動》を使用すると、本来であれば肉体が損傷することでしか発動することのない《起死回生》が発動し、それに応じて自身の能力が飛躍的に向上する。

 全身から溢れ出しそうなほどに漲る力。

 神経は鋭敏化し、ある種の万能感が己を支配する。

 それはただの勘違いではあるが、時に思い込みというのは本来持っている以上の力を引き出し、自身を一段高い舞台へと引き上げるほどの効果を発揮することすらある。

 そうした不確定な要素すらも利用するために、その感覚に己のすべてをゆだね、目の前にいる戦姫へと意識を集中させる。

 すると、先程までは感覚が追いついていなかったために知覚できていなかった《行動予測》の線が、戦姫の剣から伸びているのを視界に捉え、直後その線に沿うような軌道でこちらへと剣が迫ってくる。

 それに対応しようとしたところで自身の体が動かないことを思い出すが、その原因は気圧されたことによる精神的な拘束によるものなので、己の内から滾々と沸き上がる意志力を総動員してそれを強引に引き剥がす。


「ああぁぁぁっっ!!」


 そして、自由に動かせるようになった腕を剣の軌道上に割り込ませるように振るい、その側面を殴りつける。


「なっ!?」


 拳を打ちつけた剣は、硬質な金属音を鳴り響かせると共に軌道が逸れ、切っ先が地面を穿つ。

 まるで自身の動きに対応ができていなかった者からの、まさかの抵抗に驚いたような声を上げた戦姫だが、すぐに意識を切り替えたのか、鷲掴みにしていた俺の頭を手放すと、足を折り畳んで蹴りを放つ姿勢を取る。


『アクティブスキル《力の収束》発動』


 だが、戦姫が行動を起こすよりも先に魔力を収束させた手のひらを彼女に突きつけると、暴発寸前のそれを魔術としてのかたちで解放する。


「《ウィンド》!」

「くっ!」


 瞬時に魔力の高まりを感じ取ったのか、顔の前で腕を交差させて衝撃に備えた戦姫だったが、それだけで衝撃を伴う強風を防ぎ切ることはできず、弾かれたように数メートルの距離を吹き飛んでいく。

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