挑戦6
体がくの字に折れ曲がり、勢いよく撥ね飛ばされてしまうアンネローゼ。
だが、彼女はその状態で槍の石突きを地面に向けて振り下ろすと、それを支点に後方宙返りを決めて足下から着地し、地面を削りながらもなんとか倒れ込まずに踏み留まってみせた。
「う~。お腹痛い~」
「ふっ、先程のお返しだ。しかし、咄嗟に飛び退くことで蹴りの威力を殺すとは、さすがだなアンネローゼ」
片手で腹を押さえ、顔を歪めながらも意外に平気そうな素振りをしているアンネローゼに、戦姫が称賛の声を掛ける。
そこから、あの蹴りを受けても尚、アンネローゼが立ち続けていられるのはそういう理由なのだと知り、それが昨日散々繰り広げていた戦姫との攻防によって得られた成果なのだと当たりをつけ、納得する。
それと同時に、その間を利用して自身に回復魔術を使用し、復帰時間の短縮に努める。
「しかし、これから彼を存分に試そうとしていたところを邪魔するのはいただけないな」
「え~。だってニアちゃんがみんなで掛かって来いって言ったもん。アン悪くないよー!」
「……む? うん、たしかにその通りだ」
アンネローゼの言葉に少し考える素振りをみせた戦姫は、そういえばそうか、という風に納得してみせると、顔だけではなく、体ごとアンネローゼの方へと向け、彼女へとその切っ先を突きつけてみせた。
「では、先に君から片をつけることにしよう」
何気なくそう言って、戦姫は軽く膝を曲げると、その場から一気にアンネローゼの下へと肉薄してみせた。
その動作があまりにも自然で、反応するのが少し遅れてしまうアンネローゼだが、それを警戒し続けていたミリオの援護射撃が俺の背後から放たれる。
「《サンダーショット》!」
雷撃を纏った一矢が、一直線に戦姫の背へと迫っていく。
しかし、戦姫はまるで後ろにも目がついているかのように体をずらして、その射線上から逃れてみせる。
直後に放たれた二射目もそれと同様に躱してみせたが、そのわずかな隙でしっかりと心構えを済ましたアンネローゼは、正面から迫る戦姫に真っ向から挑んでいく。
「しゃあぁっ!」
真っ直ぐに鋭く突き出された槍は、戦姫の剣により真横に弾かれ、彼女は返す刀でアンネローゼに袈裟斬りを放つ。
「しっ!」
だが、アンネローゼは敢えて弾かれた槍に体を流されるようにしながらも、斬撃から逃れるように身を屈め、軸足を支点にその場で体を半回転させると、戦姫のほぼ真下から石突きでその顎を狙うように、逆手持ちの槍を自身の背後に向け突き上げた。




