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魔刃使い5

「見事。見事だったぞクレア」


 なにかの音と共に聞こえたその声の方へと顔を向けてみれば、満足そうに手を打ち合わせたニーアさんが、真っ直ぐにクレアを見据えていた。


「君は完全に私の想像を超えた。自身の力のみであれほどの魔刃を発動してみせた者を、私は他に見たことがない」


 地面に片膝をつき、クレアと目線を合わせたニーアさんは、高揚感を抑えきれないような声でそう言ってみせ、その肩に手を掛けた。


「つまり君は、私の知りうる限り、この王国内において最高の魔刃使いだ」


 ……それは驚くべき事実だ。

 たしかに、クレアほどの魔力操作技術を持つ者が珍しいということは分かっていた。

 この街の冒険者で魔刃を扱える者が他にいないことは、以前ゲインさんから聞いていたので、そのことからもクレアの魔力操作が他よりも優れていることは明白だったわけだし。

 ただ、それが王国内で最高となると話は変わってくる。

 冒険者の中で一番というだけでもとんでもないことなのに、国内全土で一番というニーアさんの話が真実なのだとすれば、それはもう異常だ。

 クレアがそれを身につけるにあたって、様々な背景があるのは理解しているが、話が大きくなりすぎて思考が追いつかないし、意味が分からない。


『……最高じゃないですよ?』


 だが、それでも、その話には一つ間違いがあるということだけは分かっている。

 なぜなら、俺たちは知っているから。


「む? それはどういう……いや、まさか、君以上の使い手に心当たりがあるというのか?」

『……はい』


 クレアに念話という会話手段を教え、魔力操作に関する指導を行い、そして、今なお俺たちに様々な知識を教示してくれる者──


『……シャロ……シャーロットちゃんっていう子がいて……その子の方が……私よりもずっとすごいですよ』


 自称『世界最強の魔術師』こと、シャーロットの存在を。


「……シャーロット。あぁ、彼女か。いや、すまない。失念していたわけではないのだが、彼女の存在は例外中の例外なのでな、無意識に除外していたようだ。うん。たしかに、彼女ならば君以上の魔刃を扱えても不思議ではないな」


 どうやら、ニーアさんはシャーロットのことを知らなかったわけではなく、その存在を別枠のものとして認識していたようだ。

 でもまぁ、たしかにシャーロットを例外として扱うのも無理はない。

 そもそも、いくら優れているといっても彼女は冒険者じゃないし、国に仕える魔術師というわけでもないので、むしろ、切り離して考えるのが正解か。

 ただ、そうなると、戦闘職に就いている者ではクレアが国内一の魔刃使いということになり、身近な人物の類い稀な才能に、唖然としてしまった。

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