魔刃使い2
その気迫に圧されるように、はっとしてクレアは剣を構える。
すると、それを見た直後、ニーアさんは鋭い踏み込みから逆袈裟に剣を斬り上げた。
『……!?』
迫る鋭い斬撃を受け止めきれないと判断したのか、クレアは身を膝を曲げ上半身を仰け反らせることで、かろうじてそれを躱すことに成功する。
「しっ!」
だが、ニーアさんは返す刀で上段斬りを放ち、体勢の崩れたクレアへと追い討ちを掛けてきた。
『……たぁっ!』
その状態から、片足を軸にして身を捻ることで、どうにか二撃目も回避したクレアだが、そこから次の攻撃を躱すことは不可能だと断じたようで、次撃を遅らせるために、不自然な体勢ながらも振り下ろされる剣の腹に短剣による一撃を叩き込んでみせた。
直後──
『……きゃっ!?』
「むっ」
ぶつかり合った剣の衝突部、そこに纏わせていた魔力が爆ぜるようにして大きな衝撃が発生した。
それにより、ニーアさんは掴んでいた剣ごと、腕を衝撃部から勢いよく弾かれてしまう。
だが、クレアは体勢が崩れていたこともあってか、体ごと弾き飛ばされ、剣も手から放り出してしまった。
「……いい手応えだ。やはり、間違いじゃなかった。これは、彼以上だ」
ニーアさんは、なにかを確かめるように手を開いたり閉じたりしてみせ、「ふふっ」と笑い声を漏らしている。
そうしてニーアさんが違うことに気を取られている間に、起き上がったクレアは、手放してしまった短剣はそのままに、もう一つの短剣を体の前で構え、再度魔刃を発動してみせた。
「ん。おお、すまないクレア。そうだな、これで終わりにするなんてもったいないよな。うん。まだやろう」
と、クレアが魔刃を発動させたことで、その魔力に反応して、思考の海から帰ってきたニーアさんは、特にクレアと話を合わせたわけでもないが、一人でそう結論づけて剣を構え直した。
だが、ニーアさんがそうして戦闘体勢に入っても、クレアは微動だにせず、少しおかしいと思ったのか、彼女は首を傾げてみせる。
「どうした、こないのか? こないのならば、こちらから行くが?」
そう提案するニーアさんに、かろうじて頷いてみせるクレアだが、それ以上の反応はみせず、まるで周囲の時が止まってしまったかのように静止している。
……まさか。
いや、あの限界まで集中力を高めているような感じは、あれをやるつもりなのか?
「よし。ならば、次は先程よりも少し強くいく。見事これに耐えてみせろ。いくぞ!」




