決めつけ
「あれはハズレだな。間違いなく、凡才だよ彼は」
「でしょうね。見ているだけでも分かったわ。あの子、戦闘にはまるで向いてないって」
先程と同様に、戦姫の二人は戦った相手についての品評を行っているようだった。
今回はミリオの戦闘結果に対する批評をしているようだが、その評価はいきなり辛辣なものとなっている。
「うん。魔力の属性が豊富な点は評価しよう。凡庸ではあるが、弓の腕前もそれなりなのは認めよう。だが、それ以外のどこを取っても、私には彼の有用性を見出だすことができなかった」
「ま、所詮私たちは戦士だもの。直接的な強さでしか評価できないのは当然といえば当然でしょうよ。シェリアがいればまた別の見方もしてくれたんでしょうけどね」
「だろうな。でも、彼女もまた我々とは別で人材の確保に動いている以上、言っても仕方のないことだろう。それに、さすがのシェリアでもあれを活用することは難しいだろうしな」
「かもね。なら、あの子は無しってことでいい?」
レウナーレさんの言葉に、ニーアさんは「あぁ」と短く答え、それでミリオに対する話し合いは終わりとなった。
ガルムリードの時とは違いあっさりとした、始めからミリオに対して興味を抱いていなかったことが窺えるそのやり取りに、少しの嫌悪感を覚える。
批評をするのは向こうの勝手だし、その評価自体は正しいものなのかもしれない。
でも、一側面だけを見てミリオに有用性がないと決めつけて、分かった風になっているその傲慢さが気にくわない。
たしかに、ミリオはいいところを見せることもなく負けてしまったけど、あいつの本領が発揮されるのは個人での戦闘時ではなく、仲間と力を合わせて戦闘を行う時だ。
場合によっては個人の戦闘能力が重要になってくる時もあるので、彼女たちの基準が間違っているとも言えないが、それでも、それ以外を認めようとしない発言を許容することはできない。
「よし。それじゃあ次だ。手の内を見せていない者もあと一人となったわけだが、どうする?」
話が終わったことで、ニーアさんがこちらへ向けてそう言葉を投げ掛けてくるが、それは案にクレアに出てこいと言っているようなものだ。
なので、「どうする?」という意味を込めてそちらに視線を向けてみれば、クレアもその気だったのか、こちらに頷き返し、前に歩み出てみせた。
「ふっ。やる気は十分というわけか。レウ。彼女の相手は私が引き受けてもいいか?」
「はいはい。どうぞー」
「よし。君も、相手は私でいいか?」
それに対してクレアは無言で頷いてみせると、ニーアさんと共に訓練場中央へと向かって行った。




