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妨害戦3

「《バーストショット》!」


 それに対してミリオは、矢を放つという行動を以て返答としてみせた。

 他人になにを言われようと、その程度のことで今さら悩んだりはしないとばかりに。

 ……そう。ミリオがその程度のことで立ち止まるわけがないんだ。

 あいつは、どんな苦境に立たされても自分を見失わずに、自分が取れる最善の手を模索して、実行し続けてきたようなやつだ。

 自分の力なんて、あいつ自身が一番理解している。

 そのうえで、あいつが自分に勝算のある戦闘内容を提示したのなら、このままなにも見せないまま終わるわけがない。


「二度も同じ手を使うとは、もう万策が尽きたのか?」


 ニーアさんの言う通り、一見それは先程と同じ手を使ったようにしか見えない。

 だが、今ミリオの放った矢は、それまでにみせた数射とは異なる黒い矢。

 それは以前、ブラッドウルフと戦った時にミリオが使ってみせたものと同様で、両者の中間付近に着弾した黒い矢は、付与された爆発魔術により爆散し、激しい黒煙を生み出した。


「む、煙幕だと?」


 ニーアさんは「何故今さら?」というような含みを持たせた言葉を漏らすが、ミリオはそれを無視するような形で素早く次の行動に移る。


「だが、こんなものでは時間稼ぎにもならないぞ」


 黒煙の中を真っ直ぐに突き進んで来ているであろうニーアさんがそう言ってみせる間に、ミリオは腰から引き抜いた短剣を自身の手前数メートルの位置に投擲して突き刺す。

 そして、矢筒から先端に布を巻いた矢を取り出し、即座にそれを取り去ってみせると、上空に向けてそれを放ち、直後にニーアさんが黒煙から抜け出してくる。


「そら、どうした? まだ矢は残っているのだろう。ならば最後まで抗ってみせろ!」


 苛立ちの込もった言葉を投げ掛け、ニーアさんはミリオとの距離を詰めていく。

 それに応えるように、ミリオは雷魔術を付与した《サンダーショット》を連続で放ち、その接近を拒もうとしてみせる。


「遅い。まったく速度が足りないぞ」


 が、高速で飛来するそれもニーアさんの目には止まっているようにでも見えるのか、そのどれもを余裕で躱してみせた。

 そして、わずかに足を止めることもなく前進を続けたニーアさんは、剣の間合いまであと数歩という距離まで迫る。


「悪あがきも終わりか? ならば、これで終いだ」


 そこで初めて腰だめに剣を構えてみせたニーアさんは、その一撃を以てこの戦いに決着をつけようとした。


「《アースウォール》!」


 それに対して、ミリオは土魔術で自身の前方に土壁を構築すると、なにかに備えるように地面へと突っ伏してみせた。

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