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妨害戦2

「《アイスショット》!」


 次にミリオが放ったのは、矢に氷魔術を付与した《アイスショット》。

 閃くような速さで連射された二本の矢は、それぞれが先程放った爆発矢の左右の位置に着弾し、その周囲の地面が霜に覆われるほどの冷気を放っていた。

 直前の《ウォーターバレット》により、水気を帯びた鎧を凍らせて、ニーアさんの動きそのものを止めるつもりなのだろう。

 これは、かなりの効果が期待できそうだ。

 なぜなら、普通はこんなに幅広く色々な属性の魔術を扱ってくるやつなんて、まずいないから。

 だからこそ、複数の魔術を組み合わせて相乗効果を狙えるミリオのやり方は予想外であり、それが強みだ。

 これなら、さすがのニーアさんだろうと少しの足止めぐらいには──


「ふむ。付与に爆発、水に氷か」


 なるだろう。という思惑は外れ、砂埃を剣圧で吹き飛ばしたニーアさんは、平然と歩みを続けていた。


「個人でこれだけ様々な術を繰り出してくるとは、なかなかに多彩だな君は」


 その言葉はミリオを褒めるようなものだったが、口調には明るさが感じられず、どこか残念がるような響きが宿っていた。


「だが、私の足を止めるには、これではまるで威力が足りていない」


 鎧に付着したわずかな土に水滴と、足下にまとわりついている氷。

 これを見る限り、ニーアさんは魔術を躱したというわけでもなく、受けたうえで、言葉通りにまるで堪えていないということだ。


「加減をする必要性はないことから、君が手を抜いたとは考えづらい。ならば、これが君の全力。つまりは、魔力強度が極端に低いということか」


 歩みを止めずに自身の考察を披露するニーアさんのそれは、残念ながら正解だ。

 自分でも言っていた通り、ミリオは全魔術に対する適性はあるが、魔力強度の弱さという欠点を抱えている。

 これにより、下位の魔術しか使用することができず、その威力もかなり控えめになってしまう。

 時間を掛けて魔力を収束させれば、威力自体の底上げはできるものの、現状そんな隙はなく、それも望めない。


「弓の腕に関してはまだ把握できていないものの、これで近接戦闘も不得手であることを考えると……ふむ。君は、弱いな」


 まるで躊躇いもなくそう言い切ったニーアさんは、呆れたように一つため息をついてみせた。


「先程の少年。ガルムリードといったか。あれには多少の期待を持てもしたが、それに比べてもあまりに酷い」


 その言葉には明確に棘があり、自身の落胆を表すかのようにミリオへと残酷なそれを突きつける。


「アンネローゼの仲間だということでその力を試してみれば。君も、あの黒い髪の彼も、まるで大したことはない。これでは駄目だな」


 そして、なぜか俺の評価まで掘り返され、苦言を漏らされてしまった。


「うん。まぁ、とりあえず次に期待しよう。なので、始めたばかりで悪いが、もう終わらせてもらうぞ?」


 そう言ったニーアさんは、一歩、二歩と足を進める度ごとにその速度を上げ、一気に勝負を終わらせに掛かった。

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