評価
「ははっ。いや、君もなかなか隅に置けない女だな、レウ。まさか、このような場で求愛されようとは」
「ふぅ。言ったでしょ、興味ないって。それにこの手の話ならアナタの方が豊富でしょう? 顔も人当たりもいいものね。普段は」
俺たちがガルムリードの安否について話し合っていると、あちらでは先程の唐突な告白についての話をしているようだった。
ただ、本人が言っていた通り、レウナーレさんは自分より弱い者には興味がないようで、まるで脈はなさそうだ。
それをどうにかするためにガルムリードは彼女よりも強くなろうと考えているみたいだったが……それ、きつくないか?
相手がただの上級冒険者だったなら、難しくはあっても努力次第ではなんとかなる可能性はある。
が、王国内でも屈指の実力を持つ戦姫が相手となると、単純に努力を重ねる程度ではその強さまで到達することはできないんじゃないかと思う。
まぁ、それでも本人がやる気なら水を差すような真似をするつもりはないし、できる限りで俺も協力するつもりではいるけど。
……そうなると、とりあえずはやっぱりレベル上げになるのかな?
「普段は、という表現に棘を感じるが、それに関して否定はできないな。だが、私に言い寄ってくる者の中には彼のように情熱的な者はいないぞ?」
「情熱的ねぇ。私はただの世間知らずとしか思わなかったけど?」
「ふむ。そこは見解の相違というやつだな。うん」
それにしても、やっぱりニーアさんもモテるんだな。
いや、こんな世界だからな。あれだけの美人なうえ、圧倒的な強さというのはそれだけで魅力的に映ってしまうのは仕方のないことだ。
でも、相手があれだけ強い人だと、もし告白が成功したとしても普通の人なら関係が長続きするとは思えないんだけどな。
間違いなく、劣等感で押し潰されるだろうし。
「まぁ、その辺りについては、次の移動中に話し合うとしよう」
「そうね。暇潰しにはなりそうだし」
レウナーレさんの言葉に「うん」と短い返事をして、ニーアさんは改まったように姿勢を正してみせる。
「さて、それでは本題に移ろう。どうだった、彼は?」
「……耐久力に関しては文句なし。私の攻撃にあれだけ耐えたんだからこれは当然ね。加えて、あの咆哮。やっぱりあれは強力だわね。対策なしだとまず防げないし」
……ガルムリードの評価か。
わりと高評価をもらえてることはなによりだが、改めてこっちが試されている側なんだと意識させられると複雑な気分だな。
負けるのが大前提で、なんとなく弄ばれているみたいだ。




