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処置

「ソニア。彼の処置を」

「はい。かしこまりました」


 倒れたガルムリードを見て、俺たちが動き出すよりも早くそう指示を出したニーアさん。

 そして、それを受けたソニアリスさんは、音もないほどに滑らかな動作で素早くガルムリードに近づくと、傷の具合などを確かめ、回復薬のようなものを飲ませた。

 それでひとまずの処置は完了したということなのか、彼女はガルムリードを抱え上げると、ニーアさんに一度頷いてみせ、俺たちの傍まで歩み寄ってきた。


「失礼します。私はこれより、彼を冒険者ギルドの医務室へと運んできます。ですので、心配はご無用とだけ伝えておきます」

「ええ、ありがとうございます。それじゃあ彼のこと、お願いしますね」


 わざわざこちらの気持ちを汲んでそれを伝えにきてくれたソニアリスさんに、ミリオが丁寧にそう返すと、彼女は会釈程度に頭を下げてみせ、気を失ったガルムリードをギルドへと連れていった。


『……大丈夫かな……ガルム君』

「まぁ、大丈夫じゃないか。回復薬飲ませてもらってたっぽいし、なにかあってもギルドの人たちならちゃんと対処してくれるだろ」


 少なくともこんななにもない場所──というか、これからまだ戦闘が繰り広げられる場所に寝かせておくよりは、安全な場所に連れて行ってもらえた方が遥かに安心できる。


「うん。彼らに任せておけば問題はないよ。それにガルムはオーガと殴りあっても平然としてるぐらいに丈夫だから、すぐに回復して戻ってくるだろうし。ね、アン」

「そうだよクーちゃん。だってガルルンだもん」


 ガルムリードだから大丈夫、という二人の言葉には説得力があるような、ないような微妙な感じだが、それでもその気遣いを察したようで、クレアは『そっか』と言って頷いてみせた。

 二人と俺たちの間にある多少の認識違いは、やっぱりそのオーガとの戦闘を実際に見たのか、そうでないのかの差なんだろうか。

 オーガは頭に大きな角の生えた、ゴブリンとオークを足してさらに凶暴にした感じの見た目をした中級の魔物だ。

 ギルドの資料によると、筋骨隆々で二メートルを超える体躯を持ちながらも敏捷性に優れ、素手で金属鎧を破壊してしまうほどの脅威的な腕力が特徴的な魔物。

 ミリオの話によると、任務中に遭遇したオーガにガルムリードが殴り掛かって、そちらがやりあっている間に完成させた罠でオーガの動きを止めて、ミリオの風魔術を付与したアンネローゼの槍で頭部を串刺しにして倒したとかなんとか。

 ……ガルムリードの丈夫さがおかしいのも分かるけど、中級の魔物をあっさり倒す策を用意するのと、それを実行する力を持ったこの二人も十分におかしいと思うんだけどな。

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