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斧の戦姫4

 その反応に対して、もしかしてマゾなのかな? という疑問が浮かぶ。

 いや、仮にそうなんだとしても別にそれはそれでいいんだけどな。

 人に迷惑を掛ける類いの性癖ってわけでもないし、わりと一般的な部類のものだから理解できないというほどではない。

 まぁ、その辺りの事情は人によっては深刻に悩んだりするぐらいに繊細な問題だから、あまり深く考えるのはやめておこう。

 そういうのは下手に干渉されるのが一番鬱陶しいだろうしな。


「おかしいな。一撃ごとに叩きつける強さ上げていってるんだけど、なんでどんどん起き上がるの早くなってるわけ?」

「はっ。んなの決まってんだろぉが。慣れだ慣れ。痛ぇのなんざ、一辺慣れちまえばそっから多少強くなろぉが変わんねぇんだ。ならあとは気合いでどうにでもなんだろ」


 ……うーん。いや、それはどうだろ?

 気合いって、そんなに万能なもんじゃないと思うんだけど。


「ふぅん。慣れと気合い、ねぇ。ま、いいわ。それならアナタがどこまで耐えられるか、確かめてあげる」

「かっ! 上等だっ!」


 ここにきて初めてレウナーレさんが放った好戦的な発言に、吼え猛るように即答したガルムリードは、拳を強く握り締め、彼女へと躍り掛かる。


「おらぁっ!」


 肩越しに引き絞られ身を投げ出すようにして放たれた拳は、しかし、がっしりと掌で掴み取られてしまい、レウナーレさんはそれを掴み上げると即座に空中へ放り投げ、直後に下方から掬い上げるようにして斧を振り上げた。


「ふっ!」


 唸りを上げて迫ってくる一撃を、避けることはおろか地面に衝撃を逃がすことすらもできない空中で。

 ガルムリードは体を小さく丸めると、直撃の瞬間にそれを開き、その勢いで斧の表面を力強く踏みつけた。


「おぉぉぉらっ!」


 轟くような快音を立ててぶつかり合う、人体と武器。

 その後、ガルムリードの体が後方へと撥ね飛ばされるが、先程の一撃によりわずかながらに斧の威力を相殺することができたのか、彼は空中で体を回転させると足元から地面へと着地し、直後に再度彼女の下へと駆け出していく。

 斧による攻撃を四度受け、その体には目に見えるものから見えないものまで、いくつもの損傷が刻まれているはずだ。

 だが、ガルムリードのその走りは、衰えるどころかむしろ機敏さを増していて、調子が上がっているようにすら感じられる。

 そして、それに釣られるようにしてレウナーレさんもその場を飛び出し、ガルムリードの数倍の速度で一足飛びにその距離を詰めると、斜めから叩き潰すように超重量の斧を振り下ろした。

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