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興味

「ってな感じで、今日は最後まで訓練らしい訓練は一切できなかったんだけど、噂の戦姫の実力を実際に目の当たりにすることができたのは運がよかったよ」


 ──シャーロットの魔法薬店にて。

 ギルドを出てここへやってきた俺は、クレアとシャーロットの二人に先程出会った戦姫のことを話していた。


『……アンちゃんを一方的に負かすなんて……すごいね』

「だよな。俺たちが束になっても敵わないアンちゃんを相手に、ほとんど身動きすらせずに圧勝するとかどんなんだって話だよ」


 アンネローゼとニーアさんの模擬戦闘は結局あのあとグランツさんがこちらにやってくるまで延々と続き、それに見入っていたために自身の鍛練を疎かにしてしまったが、二人の凄まじいまでの攻防は今思い返しても身震いがするほどで、それを見られたことは心の底から幸運だったと思う。

 あれと同じ高みへ到達できる日がくるのかは分からないが、それでも、人はあそこまで技を昇華させることができるのだという事実は、今後自分を鍛えていく上での目標になると同時に、自分もあんな風になれたらという憧れを感じさせられるには十分なものだった。

 洗練された技術というのはそれ自体がカッコよくて魅力的だしな。


「それにしても剣の戦姫ですか。話には聞いていましたが、それほどの戦士でしたか。少し興味が湧いてしまいますね」


 と、普段他人の話題に対してあまり興味を示さないシャーロットが珍しく反応する。

 基本的に門外漢なことに関しては「そうですか」ぐらいの淡白な返事しかしないこの子がこういった反応を引き出せるというだけでも、ニーアさんの凄さが窺えるというものだ。

 でも、なら丁度いいかもしれないな。


「じゃあ、先生も明日一緒に戦姫に会いに行く?」

「はい? なんですか藪から棒に。クレアちゃんも可愛らしくぽかんとした顔をしていますよ」


 そう言われてクレアの方を見てみれば、たしかに口を緩く開いて目を丸くしていた。

 だが、それを見られたことが恥ずかしかったのか、頬を赤くして『あっ』という声を漏らすと、手で目元を隠してそっぽを向いてしまった。

 ……かわいいな。


「それで? 戦姫に会いに行くか、とはどういうわけですか?」

「あぁ、悪い悪い。えっと、なんて言えばいいか。その、話の流れで剣の戦姫──ニーアさんがアンネローゼの仲間に会っておきたいって言い出して、まぁ当然アンちゃんはそれを了承したからってことで」

「なるほど。そういう流れですか。委細承知しました」


 直前までクレアに気を取られていたために少し下手な説明になってしまったが、そこはさすがシャーロットというべきか、話を理解する力が強くて助かった。


「ですが、残念ながらボクはそこに同行することはできませんね」

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