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固有能力

 ひとしきり笑い、メイドさんの淹れてくれたお茶を飲み一息ついた後。まず俺は村長に謝罪をすることにした。


 「先程は申し訳ありませんでした。見苦しく取り乱し、失礼な態度を取ってしまいまして。改めまして、自分はアスマといいます。傷の治療をしていただきましてありがとうございました」

 「いや、構わない。それよりも落ち着いたのであれば本題に入らせてもらおう」


 そうですね。俺がびびってまともに会話ができそうになかったばっかりに手間を掛けさせてしまって本当に申し訳ない。お陰様でなんとか正気に戻ってこられたんで、ここからは平常心を保つことに全神経を集中させていただきますのでどうか平にご容赦を。

 というかさっきの俺ってもしかして精神系の異常状態になってたような気がするんだけど、抗う意志さんって結構仕事がザルだよね。まぁ、効果が俺の意志に左右される部分があるから俺のせいといえなくもないけど、普段からもう少し効果を発揮してほしいものだ。でもテレサさんの魔術を一応防げたぐらいだから、もしかして村長の威圧感が常軌を逸していたという可能性も十分にある。恐ろしい。


 「なに。二、三聞いておきたいことがあるというだけの話だ。気負う必要はない」

 「はい。気を使っていただいてありがとうございます」

 「うむ。それではまず、ここへは何を目的として来たのだ?」


 この質問はここへ来るまでの間に一度エルフ娘たちにしていたので、短時間の間で二度目ということもあり割かしスムーズに説明を済ませることができた。スキルの説明についてはエルフ娘と違って村長は例の種族特有の能力を有していないので、とりあえず思念会話を披露し、レベル1でオークを討伐できたのもこのような特殊な力をいくつか持っているからということで一応納得してもらうことができた。


 「ふむ、そのような希少な能力を持った者がこのような身近にいようとは、世界というものは存外広くないのかも知れんな」


 それはどうだろう。正直俺のスキルに関しては異世界召喚者特典の可能性が非常に高いので、自分で言うのもなんだが種族固有の能力と比べてもたぶんその特異性は飛び抜けてると思う。そもそもスキルは条件を満たしさえすれば後から後からその数を増やすことができるので比べるようなものでもないんだが。スキルというものはいわゆる可能性の化け物だからな。まぁ、可能性が無限大なだけでそれを引き出せないと意味はないけど。


 「ならばこの村を覆う結界もそのスキルの力で越えてきたのか?」

 「え? 結界ですか?」

 「あぁ、村へと至る道中は一面が濃密な魔素の霧で覆われていただろう。あれが結界だ。方向感覚を狂わせ、視覚を封じることによりこの村へと辿り着けなくしてある。もちろん魔術による探査も役に立たないようになっている。まぁ、そこのエルフたちはその真実を見抜く眼の力で難なくそれを突破してきたのだがな」

 「まぁね。アタシたちにはこういう類いの術ってまるっきり効果ないから仕方ないわね」


 エルフの目って嘘を見抜くだけじゃなくて、そんなものまで見通す力があるのかよ。すごいな。

 でも、俺ってその結界を越える時スキルなんて使ってないんだよな。


 「いや、自分はスキルの力で越えてきたわけじゃなく、この指輪が指し示した光を辿って来ただけなんですけど」


 そう言って俺は指輪を嵌めている手のグローブを外して、それを村長に見せた。


 「…その指輪は。失礼だが、それはどこで手に入れたのだ?」

 「これは、この森に入る少し前、草原に落ちていたのを偶然発見したんですけど、あまりにも有用な代物だったので悪いとは思ったんですが少しの間その恩恵に与ろうと思い、こうして身につけていたんですが」

 「ふむ、セシリィよ。今の言葉は真実か確かめてくれはしないか?」

 「何? 疑ってるの?」

 「少し思うところがあるのだ。悪いが頼む」

 「ま、いいけど。それじゃアスマ、アタシの目を見て質問に答えなさい」


 そうしてセシリィと目を合わせ、先程の俺の説明をセシリィが質問という形に言葉を変え投げ掛けてきたので、俺はそのままの真実で返した?


 「はい、もういいわよ。うん、この子の言葉に嘘はなかったわ。草原で見つけたっていうのも本当だし、少しの間借りていただけっていうのも本当よ」

 「そうか。すまないな、少年よ」

 「いえ、お気になさらず。そもそも落ちていたものを無断で使用している自分に落ち度があるのは確かなので、何かの疑いを掛けられても仕方ないかと」

 「で、その指輪がどうしたっての?」

 「あぁ、その指輪は私が息子に渡したものの一つなのだ。先程聞いた指輪の効果からしても間違いはない」


 げ、持ち主が目の前に。…返そう、今すぐに。


 「すみません、そうとは知らずに。今すぐに返しますん…」

 「待てっ!!」


 指輪を返却しようと、それを指で摘み、嵌めていた指から引き抜こうとした時、村長から放たれた圧のこもった制止の声が聞こえた瞬間、物理的に俺の動きが静止した。


 「と、すまない。だが、その指輪を外すのは止めておいた方がいい。体の一部を失いたくないのならな」


 今とてつもなく衝撃の一言が聞こえた気がするんだけど、それよりもさっきの声で動かなくなった体がまだほとんど動かせないんだが、いったい何をされたんだ…?


 「む、すまない。君の身の安全のために、獣人族のみが使える咆哮を使用してしまった。少しの間体が硬直してしまうが、時間が経てば元に戻るので安心してほしい」

 「あ、はい。分かりました」


 エルフに固有能力があったように獣人にも何か能力があるんじゃないかと思っていたが、これがそうか。というか何だこれ、体に力が入らない。こんなもの戦闘中に使われたらひとたまりもないじゃないか。…獣人とは敵対しないようにしないとな。

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