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自己紹介

 「お待たせしました」


 防具を着け終え部屋の外へ出ると、三人が一斉にこっちに視線を向けてきた。

 …うっ。やっぱり改めて見てもこの人たち美人さんだな。ただでさえ人見知りの気があるのにそんな人たちに注目されると、気後きおくれして思わず目を逸らしてしまう。


 「あら、案外早かったのね、って何で目を逸らすのよ」

 「いや、何となく」

 「何よ。何かやましいことでも…あぁそっか、そういえばアンタ目ぇ覚ましたばっかでまだ謝ってないからか」

 「え? 謝る?」

 「あれ、違った?この子たちの水浴び覗いたこと謝ってないの気にしてたんじゃないの?」


 …あ。しまった、そういえば謝ってなかった。最悪だ。水浴びを覗いたこと自体は思い出してたのに肝心の謝罪をしてなかった。なんてことだ。


 「…あー、その。遅くなりましたが、皆さんの水浴びを覗いてしまったことを謝罪させてください。すみませんでしたっ!」


 腰を直角に折り曲げ、頭を思い切り勢いよく下げる。わざと覗いたわけではないが、裸を凝視しちゃったのは確かだ。女の子なんだからどこの誰とも知れないやつに肌を見られるなんて、まぁ嫌だよな。後悔はしてないけど、反省はしてる。申し訳ない。


 「あー、あれ君だったんだ。うん、いいよ」

 「…ん。いい」


 …おぅ。あの子に続いてこの人たちもあっさりお許しを出してくれた。何だろ、エルフってもしかして羞恥心があまりないのか?でも、布で隠してたしそんなこともないのか。分からんな。


 「男の子だもん。そういう悪戯をしちゃいたくなる時もあるよね」


 …違うな。何かこれって、単純に俺が男扱いされてないというか、子供扱いされてるような気が…。


 「男の子って歳じゃないでしょうが。でしょ?」

 「まぁ。22なんで」

 「え? 若っ。あーでも、人族ってそれで大人なんだっけ?」

 「そうですね。確か、15で成人だったかと」

 「へぇ。本当に成長が早いのね、人族って」


 もしかしてと思ってたけど、この子たちって俺よりも歳上なのか。見た目は全然そんな風には見えないけど、100歳ぐらいいってたりすんのかな。まぁ、怒られたら嫌だから年齢を聞いたりはしないけどな。


 「あーっ!」


 そんな話をしていると、胸の大きな女の子が突然大きな声を上げた。


 「うるさいっ!近くで急に大声上げるんじゃないわよ! 耳がおかしくなるじゃない!」

 「あぅ、ごめんねリィちゃん」

 「まったくこの子は。で何?」

 「あ、うん。私、まだこの子の名前聞いてないかも、って」

 「…そういえばアタシも聞いてなかったかも。エルも聞いてないわよね?」

 「…ん。聞いて、ない」

 「やっぱり。あれ? もしかして私たちの名前も教えてない? あちゃー、失敗だー。仲良くなるにはまず自己紹介からなのに、忘れてたよー。ごめんね」


 …何故かこのタイミングで自己紹介が始まりそうな話になってきてるんだが、いつになったら村長のところに行くんだろう。長生きしてるだけあって時間にルーズなのかな?


 「じゃあ私から。私の名前はミーティア。皆からはティアって呼ばれてるの。君もそう呼んでいいよ。好きなものは甘いもの。好きなことは皆とお喋りすること。よろしくね!」


 まずは胸の大きな女の子。名前がミーティアで愛称がティアと。うん、好きなものとかは何か予想通りっていうか。見た目からそんな雰囲気が伝わってくるな。何となくアンちゃんと気が合いそうな感じがするな。今度暇があったら連れてきてあげようかな。


 「次はアタシ? アタシの名前はセシリィよ。よろしく」


 で、次が胸の小さな女の子。名前はセシリィと。うん。相変わらずサバサバしてるな、良い意味で。最低限の自己紹介は済ませたからもういいでしょ、って感じが何も言ってないのに伝わってくるわ。


 「…レイエル。よろ、しく」


 その次が褐色肌の女の子。名前はレイエルか。この子は正直まだよく分からないな。あんま喋らないし。でも、別にコミュニケーションを拒否してるとか、喋るのが嫌いとかいうわけじゃなくて単純にマイペースなだけのような気はする。勘だけど。

 で最後は俺の番か。あまり注目されるのも恥ずかしいし、さっと終わらせるか。


 「俺の名前はアスマです。東にある街から来ました。よろしくお願いします」


 …まぁ無難にはできたかな?というか自己紹介って何を言えばいいのか微妙に困るんだよな。最後にしたのって学生の頃か? 覚えてないな。どうでもいいけど。

 さぁ、これでとりあえずは自己紹介も済んだことだし、そろそろ村長さんのところに…。


 「はい、質問!」


 …とはいかなかったか。そろそろいい加減にしないと本当に日が暮れるんじゃないですか。ねぇ、ミーティアさん…。


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