表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
438/644

討伐98

「……なんだそりゃ」


 目の前で繰り出されたあまりにも豪快な一撃に、思わず目を見開いて驚きの声が漏れ出る。


「んー、すっきりした! ふふん。どう? 私の炎の威力は。これだけは自信があるのよね」


 そう言って胸を反らして誇らしげな様子をみせるリリアだが、たしかに今の一撃にはそれだけの優れた威力が秘められていて自慢気にするのも納得ができるものだった。

 正直、瞬間の火力だけでいえばあれほどの魔術は初めて見たといってもいいほどだ。


「いや、本当にすごいわ。さっきのって中位魔術の《フレイムピラー》だろ? えげつないな中位魔術」

「そう、えげつないのよ私の炎は。まぁ、ユーリの補助がなかったらあんなにすぐ発動させられないんだけどね」

「あー、そういえば《マジックブースト》もらってたな」

「うん、自力で発動させようとしたらさっきの何倍も時間が掛かっちゃうからね。もっと魔力操作の精度上げていかないとなー」


 《マジックブースト》は対象の魔力を一時的に活性化させることで、収束速度を加速させる補助魔術だ。

 と、簡単に言えば利点しかないように思える魔術だが、要は魔力を半ば暴走状態に陥らせることでその加速を促すものなので、対象の術者──この場合はリリアの力量が足りなければその時点で魔力を暴発させてしまうというマイナスの面もあるのでおいそれとは使用できない微妙な魔術なんだが、普通に使いこなしていることに苦笑してしまう。

 そして、リリアの魔力加速度的にユーリの魔術がかなり優れているということも見て取れる。


「あ。というか、ユーリ、オリオン。お前らもう動いても平気なのか?」

「うん、おかげさまでね」

「んー。血が足りなさすぎてぐらぐらするけど大丈夫だよー」


 ……それは大丈夫って言っていいのか? いや、本人がそう言ってるなら大丈夫なんだろうけど。


「ごめんね、こんな大変な時に気絶なんてしちゃって。僕はみんなの盾なのに……」


 オリオンは申し訳なさそうな表情を浮かべて落ち込んでいるが、なにかへまをしたというわけでもないので別に謝る必要なんてない。


「いや、あれは仕方ないだろ。お前が悪いわけじゃないよ。むしろ生きてただけでも儲けものだ」

「あはは、うん。そう言ってもらえるなら助かるよ」

「ところでアスマ君。クレアとカイルはどうしたの? っていうのと、さっきから聞こえてきてるこの大きい音ってなに?」

「あぁ、そのことなんだけど──」


 そう前置きをして、三人と別れてからなにがあって今なにが起きているのかという一連の流れを手早く説明する。

 そして、それが終わると三人は各々が納得したように頷き理解を示す。


「なるほどね。じゃあ、とりあえず私たちは森に火を放ちながら出会ったワイルドボアを残らず狩っていけばいいってわけね」

「まぁ、そんな感じだな。火をつけるのは俺がやるからリリアは魔物の対処を頼めるか?」

「うん。っていうか、なんなら火をつけるのも私がやってもいいけど」


 そう提案してくるリリアだが、それには首を横に振って断る。


「いや、今この中でまともに戦力として機能してるのはリリアだけだ。一応オリオンも戦えるだろうけどそうなるとユーリが無防備になるからそれもなしだ。だから、悪いけど今頼れるのはお前なんだ。よろしく頼む」

「ふふん。そこまで言われちゃったら仕方ないわね。えぇ、いいわ。私に任せて、みんな守ってあげるわよ」


 上機嫌にそう言ったリリアに頷いて返し、早速行動を開始する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ