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討伐84

 そして、互いが交錯しようとしたその瞬間、クレアは滑るようにして先頭のワイルドボアの腹の下へ潜り込むと、縦に振るった剣でその身を真っ二つに斬り裂いた。


 『……やあっ!!』


 その直後、クレアは地面に背を預けたままの状態で身を捻って剣を振り回し、左右にいたワイルドボアの足を斬り飛ばす。

 そうして瞬く間に三体のワイルドボアを斬り捨てると、クレアは体を跳ねさせるようにして立ち上がり、その光景を見たことにより畏縮して勢いがなくなってしまったワイルドボアの頭上を飛び越えると、その奥にいるリーダーへと向かって再度駆け出していく。


 「な、に?」


 それを後方から見ていたリーダーも思わず呻くような声を上げてその驚きを露にしていた。

 それはそうだろう。あいつは完全にクレアのことを侮っていたんだから。

 だが、正直にいえば俺もクレアがここまで圧倒的に相手を捩じ伏せられるほどの強さを身につけていたことに驚いている。俺と戦った時よりも明らかに動きのキレや技の冴えが段違いだ。


 「そう、あれだ。散々見せられたあの異常な斬れ味の剣撃。それに戦えば戦うほど、どんどん速くなって無駄がなくなっていきやがるあいつの動き。さっきもああやって何十体もいたワイルドボアをほとんど一人で片づけやがった。本当に何者だよあいつ」


 僅かに呆れの色を含んだカイルの言葉は理解できなくもない。

 クレアはあれでもほんの少し前まではほとんど戦闘経験もないようなただの女の子──普通よりも遥かに魔力操作が優れている点を除けばそう──だったが、本人の才覚に加えて俺が《成長因子》のスキルを取得したことにより急速に強さが増してしまった結果一層その特異性が際立ってしまい、駆け出しの下級冒険者なのに魔刃を扱えたり、戦闘技術が高かったり、レベルが上がりやすかったりと、色々おかしなところがあるからだ。

 カイルが言っていた戦うほどに動きが速くなり、無駄がなくなっていったというのはそれが関係しているのは言うまでもないだろう。

 ただし、あくまでもそれを使いこなしているのはクレア自身であり、同じ条件にあったからといって誰にでもできることではないということも間違いないだろうと思う。


 「努力家なんだよ、クレアは。ずっと頑張ってきたんだから、あれぐらいはできてもおかしくないだろ」

 「いや、それにしても……あー、いいや。努力次第じゃあれぐらいまで強くなれるってことが分かっただけでも儲けもんだと思っとくよ。ってことで、俺たちもやるぞ! 兄ちゃん!」

 「あぁ! いくぞ!」

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