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討伐65

 「っ!?」


 思わず息を呑んで見詰める視線の先、そこにいたのは真っ赤な蜂の大群だ。

 蜂といってももちろんただの蜂ではなく、体長が三十センチはあるだろうと思われるとんでもない大きさの蜂だ。

 十中八九ただの虫ではなく魔物だろう。その魔物は酷く興奮しているようで、激しく周囲を飛び回り。顎を打ち鳴らして硬質な音を立てている。

 その顎を軽く観察してみれば、人の腕程度なら簡単に噛み千切ってしまいそうなぐらいに強靭な刃が備えられていて、黒い横縞模様が走る尻部分には鋭く尖った針が強く存在感を主張している。

 ……あれは、毒針か。

 それを視覚に捉えた瞬間、俺の中で本能的な危険信号が激しく明滅し心が逃げろと訴えかけてくるが、その蜂の群れの中心、そこに四方を土壁で囲んだ四角形の物体が鎮座していた。

 間違いなく先程のワイルドボアがその中に隠れているのだろう。

 ということは、この蜂の群れをこんな状態にしたのもこいつであり、つまり俺はここまで上手く誘き寄せられたというわけだ。

 と、そこまで考えたところで、こちらに気づいた一体の蜂が俺のことを敵だと認識したのか、耳障りな音を響かせながら急接近してくる。

 万が一を考えれば正直なところ毒持ちの敵とは戦いたくはないが、すぐそこに標的がいる以上はここで引くという選択肢は取れない。

 こいつらに恨みはないが俺の邪魔をするというのなら話は別だ。容赦なくいかせてもらう。

 向かってくる相手の姿に意識を集中させ、《行動予測》を発動させる。それにより、相手がどう攻撃を放ってくるのかを把握し、《危険察知》が鳴り響く位置まで引きつけたところで最小限の動きをみせて大きな顎による一撃を危なげなくかわす。


 「ふっ!」


 そして、敵が俺の横を通り過ぎようとしたところで、短く握った槍を下から突き上げその頭部を串刺しにした。

 だが、蜂の魔物は頭部を貫かれたにもかかわらず、その羽は動き続け体を滅茶苦茶に動かしてこちらにどうにか一撃を入れようとしてくるので、槍を振り回して強くその身を木の幹に打ちつけてやるとようやく抵抗をやめて全身を痙攣させ始めた。

 ……頭を貫かれたのに動き続けるなんてタフなやつだな。

 まぁ、動物型の魔物が動物と同じような特徴を備えているように、この魔物も昆虫と同じような特徴を持っているということなんだろうが、虫って本当に生命力がすごいよな。

 頭が取れたり体の一部がもげたりしても数日なら平気で生き続けるし、確か痛覚もなかったはすだ。

 そう考えると、昆虫型の魔物は動物型のそれよりもかなり厄介な相手なのしれない。

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