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討伐62

 完全に予想外な状況に陥ってしまったことにより、頭が混乱して思考が纏まらず咄嗟の判断がつかない。

 空回りを続ける頭で必死に打開策を考えてみるが思いつくのはどれも駄策ばかりで、これだというものが出てこない。

 一番ましだと思う方法が《死気招来》によって気を身に纏うことで、できるだけ衝撃を殺すというものだが、これにしても実際どの程度までダメージを軽減できるかが分からないので微妙だ。

 着地後に回復薬を飲んでいる暇はなさそうだからできれば無傷でどうにかしたいところではあるが、もう地面に激突するまでにあまり時間はないのでこれ以上あれこれと考えてはいられない。腹を決めよう。

 そう決心してみると、危機的状況なことに変わりはないのに不思議なことに少し心が落ち着いてきた。

 やっぱり俺は色々なことに考えを巡らせるよりも一つのことに意識を向けているほうが性に合っているということなんだろう。なんでもできるだけ単純に考えるほうが楽だからな。

 ということで、《死気招来》は生命力の消耗が怖いので発動させるならギリギリのほうがいいだろうと思いその瞬間を見計らっていると、不意に脳裏に閃きが走った。


 「あ!」


 その閃きがあまりにも的確なものだったのでびっくりして声が出てしまったが、これならまず間違いなくなんの危険も負わずにこの状況を乗り切ることができることに気づいたので、《死気招来》を発動するのはやめ、地上間近で別のスキルを発動する。


 『アクティブスキル《不動》発動』


 それを発動した瞬間、外部から受けていた一切の影響が消え失せ同時に落下が止まる。

 そして、次の瞬間には再び落下が始まるが、大した衝撃を受けることもなく無事に着地することに成功した。

 ……うん。最初からこれでよかったんだよな。

 冷静になってみれば焦る必要なんて全くなかった。《不動》を使えばこうやって落下のエネルギーを失くすことができるんだから。

 なんというか、ここまであっさりと状況を打開できると焦っていたのが馬鹿らしく感じてくるが、途中までは本当になにも思い浮かばなかったんだから人の思考ってものは難しいものだ。

 先程の閃きにしても初めて《死気招来》を使用した時のことを思い出し、最初は力の加減が分からず試しに跳躍をしてみた時に体勢を崩して転びそうになったのを《不動》で回避したな、というところからたまたま《不動》について連想できただけだしな。 

 ただ、これは今思ったんだが、土槍の破片を背中の盾で逸らして回避したことにかんしても《不動》を使えばあんな綱渡りみたいな芸当をする必要はなかったんじゃないかということに気づいてしまい、本当に俺は判断力が貧弱だと少しショックを受けている。

 まぁ、結果的に上手くいっているんだから落ち込む必要はないんだろうが、今後のためにも反省はしなくちゃいけないだろう。

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