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討伐61

 それを好機と捉え、手近にいた一体に止めを刺すために詰め寄るが、その瞬間、足下に急速な魔力の高まりを感じたのでその場から飛び退く。

 《危険察知》が発動していないので攻撃系の魔術ではないと思うが、だからといってわざわざ自分から得体の知れない魔術を受けにいくほど馬鹿ではないので、ここで無理はしない。

 だが、飛び退いたことでその魔術から逃れられたと思っていた俺の意表を突くように、高まった魔力がこちらの着地点まで追従してくる。


 「なっ?」


 ちょっと待った。なんだこれ? 高めた魔力を移動させてる?

 ……って、そうだ。相手が魔力操作に長けているのならこれぐらいは当たり前にやってのけて当然なんだ。

 なんとなくで一度魔術を発動する地点を決めたらそこから魔力を移動させられないと思い込んでいたけど、完全にそれは勘違いだ。

 まずい、なんでそんな簡単なことに気づかなかった。馬鹿かよ俺は。こんなのシャーロット先生に知られたら絶対に怒られ──と、危機的状況なのになぜかそんなことを考えていたところで魔術が発動したのか、不意に足下の土が盛り上がり同時に俺の体も上へと押し上げられる。

 ……これは《アースウォール》か?

 かなりの速度で伸び続けているそれの上で、急上昇することによって体に掛かる重力に押しつけられている中、この魔術が《アースウォール》だということに気づく。

 でも、なんで今この魔術を使ったのかということに疑問を覚えている間にも土壁はどんどんとその高さを増していき、あっという間に地上から十メートル以上の距離が開く。

 そして、唐突にその上昇が止まったかと思うと体に掛かっていた過重力が消え失せ、代わりに一瞬の浮遊感を覚えたところでようやく今自分が置かれている状況に気づく。


 「あ、やば」


 思わずそう呟いた直後、今度は先程とは逆に体が重力に引かれて急速に地面へと降下を始める。


 「うおお!?」


 高所から落下していることに対しての焦りと恐怖から情けない叫び声が漏れ出るが、そんなのは当たり前だ。

 全身に打ちつけられる風に、徐々に近づいてくる地面。もちろん命綱なんてものはなく、安全に降下するための装備を身につけているわけでもない。こんな状況で落ち着けというのは無理がある。

 やばい、やばい、やばいっ!さすがにこれは死ぬっ!

 もしかしたら《赤殻》が発動していればなんとかなった可能性はあるが、さすがに生身でこの高さから落ちたら無事では済まないだろう。

 土壁からはもうそれなりに距離が離れてしまっているので、槍を突き刺して難を逃れることもできない。

 どうする? どうする?!

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