表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
373/644

討伐33

 スキルの発動と同時に体から淡い光が立ち上り、纏わりつくようにして全身を包み込んでいく。

 それは、今までに何度かの実験で確認している《限定解除》の効果が発動している間のみに発生する光であり、この光が全て消え去る時が《限定解除》の制限時間となっている。

 その効果時間は数分程度と短く、無駄に消費する余裕は一切ない。

 なので、即座に《思考加速》を発動させ、体感時間を鈍化させると共に身体強化系のスキルで能力を向上させていく。

 加速した時の中で瞬時にスキルでの身体強化を完了させた後、《力の収束》を使用して補助魔術を発動させるたの魔力を一気に引き出し、《フィジカルブースト》で更に肉体を強化する。

 そうして、最大限の自己強化を完了させ、再度《力の収束》を使用し荒れ狂いそうな力の奔流を一点に集めると、それを爆発させる。

 足下で爆発させた強大な力は俺を高速で前方へと押し出す推進力に変わり、周囲の景色を置き去りにして一気にワイルドボアとの距離を大幅に縮める。

 と、そこでようやくリーダーへと躍り掛かるカイルとユーリの姿が視界に映る。

 それを視界内に収めながら、《力の収束》による二歩目の踏み込みを決め、あと一歩でそちらへと到達できる位置へ辿り着く。


 「おぉぉらっ!!」

 「ふっ!」


 その間にもカイルの上段斬り、ユーリの横薙ぎがリーダーへと襲い掛かり、致命的な傷を負わせるには十分な威力を秘めているだろうその剣閃は、しかしリーダーが後ろに鋭く跳躍することでかわされてしまう。

 だが、リーダーが跳躍したその先は、運が悪いことに俺の真正面であり、三歩目を踏み込んだ俺は、槍を深く引き絞り、今まさにこちらの気配に気づき体ごと後ろへ振り返ろうとしたリーダーの頭部へと突き込んだ。


 「しっ!」


 放たれた槍は狙いたがわずにその頭部を貫き、穂先にはぬらぬらとした肉片が突き刺さっていて、血とよく分からない透明な液体が辺りに飛び散った。

 俺の接近に気づいていなかったのか、カイルとユーリは目を見開いてこちらを凝視しているが、それには取り合わず、リーダーの死体から強引に槍を引き抜くと、次の標的を定めて一気に肉薄し、先程と同じように頭部へと槍を突き入れていく。


 「カイル!ユーリ!ぼうっとするな!まだ終わってないぞ!」


 予想外の光景を目の当たりにしたことで思考が一時停止してしまっていたカイルとユーリに大きな声で少し強い言葉を掛けると、二人ははっとしたような顔をして慌てて周囲の敵に対応し始めた。

 そして、少し遅れて後ろからクレアたちもやってきて、掃討戦を開始したのだがそれもあっけなく終わり、あっという間にこの場にいたワイルドボアを全滅させてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ