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討伐23

 「でもこんなに黒焦げにしちゃったらもったいないな。これじゃあもう食えないだろうし」

 「は? なに言ってんの? 魔物なんて食べられるわけないじゃない。疲れてるんだから頭おかしいこと言わないでよ。たくっ」


 表面が炭化してしまっている魔物を見下ろして率直な感想を漏らしただけなんだが、頭おかしいってちょっと酷くない?

 っていうか、魔物って食えないのか。初めて知ったな。

 今まで見た目が完全に獣っぽい感じの魔物って言ったらウルフぐらいしか戦ったことなかったからこういう考えは浮かばなかったし、狼って食べるイメージがないからあれだけど猪はちゃんと処理をしないと結構臭いがきついけど旨いからな。そっか、食えないんだ。


 「匂いはこんなにいいのにな」

 「匂いだけね。魔物って体内に魔素を溜め込む器官があるとかで肉が魔素汚染されてるから食べたらよくても中毒で、悪かったら死ぬから」

 「こわ。いや、教えてもらっといて助かったよ。知らなかったら俺一人の時とか食べてたかもしれないし、ありがとな」

 「別にいいけど、アスマ君って時々子供でも知ってるような当たり前のこと知らない時あるわよね。そのくせよく分からないこととか知ってる時はあるけど、変なの」

 「ははっ、悪いな世間知らずで」


 魔物に関する知識はそれなりに増えてきてはいるけど、元々こいつらとは縁のない生活をしてたからやっぱりまだまだ知らないことのほうが多いんだよな。


 「おーい、兄ちゃん! こっちは止め刺し終わったけど、そっちはどう?」

 「おう。こっちも終わってる」


 リリアとの会話に区切りがついたところでカイルから声が掛かったので、返事をしつつそちらに向かう。


 「こっちもなかなか凄惨な光景だな。どうする、こいつらも穴の中に放り込んでおく?」

 『……うん……そうだね』

 「よし。んじゃやるか。あ、クレアとリリアは休んでていいからな。俺たちでやっとくから」


 二人には負担を掛けてしまったこともあるし、ここは少しでも休んでおいてもらうとしよう。俺が勝手に決めることでもないけど、まぁその分は俺が働けば問題ないだろう。


 「ねー、私はー?」

 「ユーリはもちろんこっちで俺たちと一緒に作業な」

 「えー。私もか弱い女の子だよー?」

 「か弱いって言葉の意味知ってるか? ほれ、しょうもないこと言ってないでさっさと終わらせるぞ」

 「はーい。優しさが感じられないなー」


 疲れてるようなら休んでもらってても構わないけど、あれだけ近接戦闘をこなせるやつがそう簡単にへばるわけもないし、魔力を使ったことによる疲れもなさそうだから当然手伝ってもらう。俺は甘やかすことを優しさとは思わない人間だからな。

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