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討伐13

 「うし、じゃあいこうぜ」


 そうしてオリオンを連れ立って倒した魔物を回収に向かう途中、とりあえずということで当たり障りのなさそうな話題を振って会話の起点を作ることにする。


 「どうだった、さっきの魔物は。割と余裕で動きを止めてたみたいだったけど」

 「そうだね、あれぐらいならまだ僕でもなんとかできるかな。まぁ、事前に受け止めるための準備を済ませていたから楽に止められたっていうのはあるんだけどね」

 「へぇ、それってどんなの?」

 「えっと、アスマ君も盾を使い始めたんならある程度は分かると思うんだけど、まず重心を低くすることで足腰に踏ん張りが利く状態を作って、体に腕を密着させるようにして盾を正面に構えるじゃない」


 そう言ってオリオンは腕を折りたたみ、身振りで分かりやすいようにみせてくれる。


 「うん」

 「それで相手の攻撃を盾の中心で受けるわけなんだけど、ただ受けるだけじゃもろにその衝撃を受けちゃうことになるからそうならないために攻撃に対して、こう、体勢を低くして少し下から盾で突き上げるようにして自分から当たりにいくと衝撃を上に逃がすことができるんだよ」


 オリオンは握りこぶしを作り、その中心の僅かに下から掌を押し当てるようにしてみせる。


 「こうするだけでもかなりこっちが受ける負担を減らすことができるんだけど、攻撃を受けた瞬間に地面を思い切り踏みつけることで下にも衝撃を逃がすことができるから、それを同時にこなせば受ける負荷は相当軽減するはずだよ」

 「おー、なるほど」


 確かに、話を聞く限りではそれができるようになれば、馬鹿正直にただ受けるよりも自身が受ける衝撃ははるかに小さくなるだろうな。できればの話だけど。

 相手の攻撃と接触する瞬間にそれだけの動作をこなすのは正直かなり難しいだろう。少なくともそれは今の俺にはできないことだ。

 訓練すればいずれはできるようになるだろうが、それなりに時間は必要になってくるだろうことは考えなくても分かる。


 「まぁでも、この方法は単発の大きな攻撃を受ける時にしか使えないから、活用できる機会は限られてるけどね」

 「あー、そうか、そうだよな」


 当たり前ではあるが単発攻撃と連続攻撃ではこちらの対応も真逆と言っていいほどに違うものになるだろう。

 そう考えると、本当に盾というのは扱いが難しい。攻撃を防ぐだけでもこれだけ色々なことを要求されるのに、ここに反撃をするための動作を組み込んだりする場合は更に動きが複雑化していくはずだ。

 新しい技術を覚えることは楽しいことではあるんだが、それを身につけるまでの道のりは長くて険しいことに変わりはないんだよな。

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