表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
340/644

伝達

 「え? 何が?」

 「魔物? どこから? いつの間に? というか、もう倒したのか?」


 その声に振り返ると、二人の男が驚いたような表情でこちらと魔物との間に何度も視線を行ったり来たりさせていた。


 「まぁ、はい。一応これが俺たちの仕事なんで。っと、それよりもすいませんでした。完全にこっちの読みが浅かったみたいで危ない目にあわせちゃって」


 自分の失敗を許してもらうために謝罪の言葉と共に頭を下げる。


 「あ、いやいや。別に怪我をしたわけでもないし、ちゃんと魔物を退治してくれたんだ。謝らないでくれよ」

 「そうだぜ。なんだかこっちが悪い気になってくるから頭上げてくれって」

 「そうすか? それじゃあ、すいませんけど」


 頭を上げて男たちに視線を向けると、妙に恐縮したような姿勢になっていたのだが、それがなぜなのかがよく分からなかったので特にそこには触れず、次にどう動けばいいかを考える。

 とりあえず目についた一体は撃破したが、他にも近くに何体かの仲間がいると考えるべきだろう。

 聞き及んでいる今までの襲撃情報からして、こいつらが単独で行動していることはなかったはずなのでほぼ間違いないと思う。

 いや、今までろくな抵抗を受けなかったことで調子づいて単独行動にでたって可能性もあるか?

 ……なくはないだろうが、仮にそうだとしても他の個体も同じ考えを持ってこちらへ攻めてくることが考えられるから、結局のところ油断はできないわけで、この考え自体が不毛か。

 となると、ここはひとまずカイルたちを呼び出すのが先決か。それと、村人たちに魔物が出たことを報せて絶対に家から出ないようにしてもらわないと。


 「えっと、とりあえず魔物が出た以上ここにいると危険なんで二人には自宅にでも避難してもらうとして、こういう場合って他の人たちにはどうやってこのことを伝えればいいんすかね?」

 「それなら村の中央にある鐘を鳴らせば全員に伝わるはずだ。なんせ狭い村だからな、寝ていようがばっちり聞こえるはずだ」

 「なるほど」


 それならカイルたちを起こしにいく手間も省けてちょうどいいかもしれない。

 もしかしたらその音が魔物を刺激してしまうかもしれないが、どのみちある程度の数は始末しなければならないんだからそれも仕方ないか。


 「よし、じゃあ二人は鐘を鳴らしに行ってもらってもいいすか?」

 「あぁ、分かった。任せてくれ」

 「クレア、二人の護衛を頼む。鐘を鳴らして二人を家まで送り届けたらまたすぐにここへ戻ってほしい」

 『……うん……了解』


 クレアが了承の言葉と共に頷いたので、こちらも頷き返す。


 「それじゃあ、行ってくれ」


 俺の言葉に男たちも頷き、クレアを引き連れて村の中央へと向かって行った。

 そして、この場に残された俺は広い視野を確保するために人の家の屋根に登り、辺りの警戒を開始するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ