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 そうして、魔物に注意を払いつつも三人で獣や鳥などの動物を仕留めて戻ると、そこには予想外に楽しそうな笑顔を浮かべているクレアの姿があった。


 「おーい、捕まえてきたぞー」


 と、火に掛けた鍋を囲み仲良くお喋りをしている三人の女の子たちにカイルが声を掛けると、そこでようやくこちらの存在に気がついたようでリリアがこちらに向けて軽く手を振ってくる。


 「おかえり。案外早かったじゃない」

 「いや、何か知らないけど兄ちゃんが妙に急かしてくるからさ」

 「俺としてはそんなつもりはなかったんだけど。まぁでも何だ、いつまでも休憩をしているわけにはいかないし時間を掛けると肉が悪くなるだろ、ってことで。悪かったな」

 「や、謝ることはねぇけどな。面白いものも見られたしさ」


 面白いものっていうのはたぶん《力の集束》を使ったナイフの投擲で走っている獲物の脚を的確に貫いた時のことを言っているんだろう。

 「すっげぇ」って言ってかなり興奮してたみたいだったし。


 「ふ~ん、そっかそっか。なるほどねぇ~」


 リリアは、クレアの後ろから肩に手を置いて耳元に顔を寄せると何事かを囁き、それにより僅かに頬を赤く染めたクレアの反応を楽しむようにしてにやにやとした笑みを浮かべてこちらに視線を向けてきた。


 「え、何?」

 「ううん、別に。ね、クレア」

 『……うん……何でもないよ……アスマ君』

 「……えぇ」


 何その反応。確実に何かあるだろそれ。……まぁ、話す気がないのなら無理に聞こうとは思わないけどさ。

 というか、この短時間で何でそんなに仲良くなってんの? あまり積極的に他人と関わり合おうとしないクレアとこうも簡単に打ち解けるなんて、リリアのコミュ力は化け物か?


 「はい、これがお肉でこっちが野草と木の実だよ」

 「んー、ありがとー」


 そんな俺の内心を無視するように、向こうではオリオンがユーリに手に入れてきたものを渡しているところだった。何てマイペースなやつらだ。


 「なぁ、俺腹減ったんだけど。早く飯作ってくれよー」

 「はい?早く食べたいなら自分で作ればいいじゃない。アンタいっつもこっち任せじゃない」

 「んなこと言っても、俺が作るよりお前が作った方が旨いじゃん。俺はお前の作った飯が食いたいんだよ」


 カイルがリリアに向けてそう言うと、上気したように彼女の頬は赤く染まり、それを誤魔化すようにして顔に掛かった髪を手で払いカイルからその顔を逸らした。


 「……ったく、分かったわよ。じゃあクレア、ユーリ、ちゃっちゃと作っちゃいましょ」


 リリアのその言葉に二人は頷いて返し、三人でユーリが受け取ったそれの調理を進めていく。

 カイルめ、よくそんなセリフを平然と言えるな。いや、こいつの場合は天然なんだろうけど。……リリアも大変だな。

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