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勝負8

 先程までとは違い、《行動予測》を取得してからはクレアの攻撃に押されるということもなく、少しばかりの余裕を持って対処できるようになっていた。

 これがもし自分よりも圧倒的に速度で勝るものとの戦いであったのなら《行動予測》などまったく意味をなさないところだったが、同等の相手との戦いにおいてこのスキルは反則もいいところだ。

 相手の挙動がすべて事前に分かるのだから、ただの打ち合い程度ならへまでもしない限りは負けることはない、と言っても過言ではないだろう。


 「二人とも、そろそろ終わりにしようか」


 戦況に進展がみられなくなって少しした頃、不意にミリオからこちらに声が掛かり俺たちは動きを止める。


 「お互いの実力を見るには十分に時間は経ったはずだし、これ以上続けてもあとはもうただ消耗するだけだからこのあたりで終わっておこう」


 その言葉で強張っていた体から力が抜け、集中していたがために昂っていた意識からも緊張が解ける。

 確かにミリオの言う通り、クレアの実力を実感するには十分な時間は経過しているだろうし、この戦いでクレアも俺もお互いに成長を促し合うこともできたので結果としては上々だろう。

 それに、あれだけの戦闘能力を見せられればこの勝負の原因になった俺の無意識もクレアのことを認めざるを得ないだろうから、俺としてはここで終わりにするのには賛成だ。


 『……待って!』


 だが、クレアはそれに反対なのか待ったの声を掛ける。


 『……あと少しだけ……あと少しだけでいいから続けさせて……お願い』


 そう言ってクレアはミリオに頼み込むようにして、じっとその顔を見詰めている。

 ミリオが「どうする?」とばかりに視線だけをこちらに向けてきたので、仕方ないという思いで頷いてみせる。


 「分かった。じゃあ、あと少しだけだよ」

 『……うん!』


 力強く頷いたクレアは、再度こちらに向き直り剣を構える。

 それに合わせるように、俺も途切れた集中力を呼び戻すために目を閉じて深く呼吸を繰り返して意識を切り換える。


 「……よし。いつでも掛かってきていいぞ」

 『……うん……いくよ!』


 律儀に返事をして、クレアは左右に握った剣を振るってくる。

 体力の消耗すらも惜しむことを止めたのか、体の回転すらも利用して放たれるその剣撃は一撃一撃が重い。

 それでも受けること自体には何の問題もないが、まともに受け続けると衝撃で腕が痺れてしまう恐れがあるので、威力を流すように僅かに攻撃を逸らしていく。が、クレアはお構いなしに連撃を放ち続ける。

 正直、このまま同じことを続けていても先程までの延長になるだけだが、クレアには何か策でもあるのか?

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