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準備

 「ただいまー」

 『……ただいま』


 家の扉を開き、室内に向けて帰宅の挨拶を口にしながら足を踏み入れる。

 シャーロットの店を出てまっすぐに家へと帰ってきたのだが、

すでに夜も遅い時間となっているので明日の準備を手早く済ませたらさっさとベットに入らないと明日に響きそうだ。

 村への移動時間は丸一日近く掛かるみたいだから馬車の中でも寝ることはできるんだろうが、道中ではいつ魔物に遭遇するかも分からないので可能な限りは起きておきたいから、そのためにはある程度の睡眠はとっておかないといけないだろう。


 「あ、二人ともおかえり」


 俺とクレアの声を聞きつけたのか、自分の部屋から出てきたミリオが挨拶と共にこちらへと歩み寄ってきた。


 「おう、ただいまミリオ」

 『……お兄ちゃん……ただいま』

 「随分と時間が掛かったみたいだけど、何かあったの?」

 「いや、特に何かあったわけじゃないけど、ギルドで明日の任務についての説明を受けた後にシャーロット先生の店で色々と話し込んじゃってさ」


 と、丁度いいので情報共有のためにシャーロットの店での話と、ギルドでの話を簡単にミリオへと伝えておくことにする。


 「へぇ、それでシャーロットからその魔装具をもらったんだ。さすがはシャーロットだ、そんなに貴重なものを簡単に贈ってくれるなんて」

 「だよな。仮に自分で使わないにしても、俺だったら金に困った時のため用にずっと仕舞い込んだままにしてるだろうしな」

 「ははっ、アスマの性格ならそうだろうね。でも、よかったじゃないクレア。いつかは魔術を使ってみたいって言ってた夢が叶って」


 そのミリオの言葉に少し恥ずかしさを覚えたのか、クレアは僅かに頬を赤く染めつつも大きく頷いてみせる。


 『……うん……本当にシャロちゃんには……いつもお世話になりっぱなしだから……どうにかして感謝の気持ちを……返したいんだけど……どうすればいいのかな?』


 クレアはそう言って口元に手を当てて何か妙案でもないかと思考を巡らせているようだが、たぶんシャーロットはお返しなんて必要としていないだろうな、とは思う。

 正直、彼女がクレアに対して世話を焼いているのは、心の底からクレアのことを気に入っているからだろう。

 何がどうなってそこまで気に入っているのかは知らないが、それに関しては間違いのないことは見ていれば分かる。

 なので、彼女自身はクレアに何かを求めたりすることはないのだろうが、クレアが常日頃から世話になっているシャーロットに対して少しでもその恩を返したいと思っている気持ちは、同じく世話になっている者としてよく分かるので、できれば俺も知恵を貸してあげたい。

 でも、それについては今すぐに思いつくようなものではないので、たとえ時間を掛けてでも本当にシャーロットが喜ぶような形で何かを返せるようにしたいので、今は保留にしておきたいと思う。


 「どうすればいいのかは分からないけど、俺も先生には世話になってるから今度また一緒に何か考えようか。あの人が喜んでくれるような何かをさ」

 『……うん……そうだね……一緒に考えよう』

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