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報告10

 『……アスマ君……恥ずかしいよ』


 シャーロットの前で声を大にして「クレアがいい」と宣言したことがクレアの羞恥心を煽ってしまったようで、両手を頬に当て困ったような顔でこちらから目を逸らしている。


 「あっと、ごめ……って謝るのもおかしいか。まぁなんだ、そういうことだから」


 言葉尻を濁してそう答えると、目を逸らしたままクレアは納得したように一度頷いてみせた。


 「ふっ、まぁ冗談はここまでにしておくとしましょうか。改めて二人ともおめでとうございます。……できるだけ長く、お幸せにです」

 「ん?あぁ、ありがとう」


 先程のやり取りが冗談だということは何となく分かっていたのでそこに突っ込むことはしない。

 そのあとに何となく含みのある言い方をされたような気がしたが、上手く言葉が出てこなかっただけだろうと思いありがたくその祝辞を受け取る。


 「あ、そうです。結婚をしたというのならお祝いの品を贈らなければいけませんね。ちょっと待っててください」

 「いや、結婚したって言ったけど正式にはまだだから別に」

 「遠慮なんてしなくてもいいですから、待っててください」


 「別にいいよ」と言おうとしたが、それを遮るように言葉を被せられてしまい、止める暇もなくシャーロットは二階へと続く階段を駆け上がっていった。


 『……行っちゃった』

 「だな。しょうがない、待っててくれって言われたし待ってるか」

 『……うん』


 そうして二階に消えたシャーロットを待つこと数分、上に登っていった時と同様に駆け足で階段を降りてきたシャーロットは、その胸に小さな箱を抱えていた。


 「すいません、ちょっと奥に仕舞い込んでしまっていて取り出すのに手間取ってしまいました」

 「いや、別に構わないけどそれがお祝いの品?」

 「ええ。これをクレアちゃんに」

 『……私に?』


 そう言ってシャーロットはクレアの手を引いてその掌の上に箱を押しつけるようにして手渡した。


 「はい。どうぞ、開けてみてください」


 どうぞどうぞ、と両手を前に差し出してクレアにその箱を開けるように勧めるシャーロット。

 クレアはいきなり手渡された物に困惑しつつも、シャーロットが笑顔でそれを開けるのを待っているので、その言葉に従って素直に箱に手を掛け、それを開いた。するとそこには──


 『……わぁ……これって……ブレスレット?』


 中央に宝石のようなものが埋め込まれた白いブレスレットが納められていた。


 『……もらっても……いいの?』

 「はい。それは昔色々と試していた頃に作ったものなんですが、ボクには使い途がないものなのでクレアちゃんに差し上げます。あまり大した品ではなくて申し訳ないのですが」

 『……ううん……すっごく嬉しいよ……ありがとうシャロちゃん』


 クレアはシャーロットの手を取りにっこりと笑顔を浮かべて感謝の言葉を口にした。

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