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合同2

 ワイルドボア。その姿は猪に酷似している。だがやはり魔物というだけのことはあり、通常の生物に比べ細部からその凶悪さが滲み出している。

 体毛に覆われたその肉体には血管のようなものが浮き上がり、たてがみはまるで剣山のように鋭利だ。

 口元から覗く上下に二本ずつ伸びている牙は太く、鋭く、噛まれてしまえば間違いなくその部位は噛み千切られてしまうことだろう。

 側頭部には左右に一本ずつ角が前方へと向けて生えており、衝突されてしまえばたちまち肉体に風穴を開けられてしまうだろうということは想像に難くない。

 だが、それらよりも脅威となるのがその大きさだ。

 この資料を見る限りでは、体高が一般の成人男性並みはあり横にも相当な大きさであることが窺われる。

 大きいからと言ってそれが直接強さに結びつくとは言わないが、体が大きいということは単純に重量が重いということであり、更にその巨大な体躯を支える丸太のような図太さを持つ脚が生み出す推進力とそれを利用して繰り出される一撃の威力は推して知るべしだろう。

 ……これは中々に厄介な相手だな。


 「北にある近隣の村からの依頼で、繁殖したワイルドボアが食料を求めて度々村へとやって来ては畑や家畜に被害を与えて、人的被害もいくつか報告を受けている。放置しておけば間違いなくその被害が拡大するだろうってことで、それなりに緊急性の高い依頼だ」


 それは確かに急いで対処しなければまずい案件だろうな。

 畑や家畜なんかの生産に時間の掛かる資源に、貴重な働き手である住人にも被害を出されているというのであれば、出来るだけ早くその芽を摘み取らなければ今後の生活にも影響が出るだろう。

 それに、もしその村が魔物に蹂躙され尽くしてしまえば、その影響は次の村へと拡がり、手を打つのが遅れれば遅れる程に魔物も成長し、被害は更に増す一方となるだろうからな。


 「って訳で、お前らには明日の早朝にここを出発してこの地図の村まで行ってもらうことになるんだが、何か質問はあるか?」


 そう言ってグランツさんが周辺の地図を手渡してきたのだが、それはかなり簡略化されたもので地図と呼ぶには些か語弊があるんじゃないかと言わざるを得ない。まぁ街道沿いに真っ直ぐ進めば辿り着けるようなのでそれは置いておくとして、それ以外にいくつか覚えた疑問について問い掛ける。


 「あの、質問と言うか疑問なんだけど、この任務って今朝俺がやらかしたことに対しての罪滅ぼし、みたいな感じで受けることになったやつだろ?なのに何でカイルたちも一緒に行くことになってるんだ?」


 普通に考えればまぁこいつらも何かをやらかしたからってことなんだろうけど、それならそれで別々の任務を受けさせればいいものを何で一緒に受けさせるんだって話なんだが、その理由は一体何だ?

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