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ギルドマスター

 「……アスマ・コガネイ、か。俺はこの冒険者ギルドのマスターでグランツってもんだ。よろしくな」

 「はい、よろしくお願いします」

 「あー、そっちの坊主は何度か見かけたことがあるな。下級の弓使いだったか?」

 「……僕のことを知ってるんですか?」

 「まぁな。こう言ったら気を悪くするかもしれんが、槍の戦姫と一緒にいるところを何度か見たことがあるからな」

 「あぁ、なるほど」


 やっぱり注目されてたのかアンネローゼ。

 分かってはいたことだけど、あの子と一緒にいたら俺たちの扱いは戦姫と愉快な仲間たちって感じなんだろうな。別にいいけど。


 「で、だアスマ。少し聞きたいことがあるんだが、その黒髪に黒目、お前さん勇者の関係者か何かか?」

 「は? 勇者? いえ、違いますけど」


 まぁ、魔王がいるぐらいなんだから勇者がいてもおかしくはないんだけど、黒髪に黒目が勇者の特徴なのか?……というか、その人ももしかして俺と同じ境遇なんじゃ。


 「ちなみに、その勇者の名前とかっていうのは?」

 「あん?何だ知らねぇのか。カリンだよ、勇者カリン」

 「……カリン」


 あー、思いっきり俺と同郷っぽいなー。

 いきなり有力情報をゲットしてしまった。そのカリンさんとやらに会えれば、俺が今抱えてる疑問なんて全部あっさり答えをもらえるんじゃなかろうか。


 「知らねぇみてぇだからついでに言っておくと、勇者カリンは大昔の人間だからとっくに亡くなってるからな。居場所を教えてくれとかって言われても無理だからな」


 ……そっか、亡くなってるのか。

 というか何で聞こうとしたこと分かったんだろ? そんなに俺って分かりやすいかな?

 いや、ギルドマスターになるぐらいの人なんだからそれぐらいの観察眼は持ってて当たり前、なのか?


 「その代わり少し、勇者カリンの武勇伝を聞かせてやろう」


 聞きたいか、聞きたくないかと言われれば聞きたいけど、今その話しは関係あるんだろうか……。


 「これはまだ魔王が今のランドグリムに代替わりする前の話だ。先代の魔王の名はアルゴテイラー。精霊喰らいの魔王と呼ばれていた……」


 その武勇伝を要約すると。

 アルゴテイラーは精霊を喰らい、その力を我が物にする能力を持っていた。

 そしてある時、アルゴテイラーはアルカディア大陸に存在する六柱の大精霊を喰らい世界を支配できるほどの力を手にし、世界を混沌に陥れようとした矢先、それを勇者カリンと現魔王ランドグリムに阻止されたそうだ。

 ちなみに、ランドグリムはアルゴテイラー以外のすべての魔族を一人で押さえ込み。勇者カリンは世界を支配する力を持ったアルゴテイラーにタイマンで勝ったみたい。しかもどうやったかは不明だが、殺さずに能力だけを消滅させて。

 ……どんな化け物だよそれ。本当に人間かよ。


 「……勇者も魔王もとんでもないですね」

 「だろ? で、まぁ何でこんな話をしたかってぇと、勇者以外で黒髪黒目のやつなんてほぼ見たことがねぇからな。もしかしてお前が勇者の末裔なんじゃないかと思ってな」

 「いや、ないです」


 即答できるわ。

 そんな最強遺伝子が俺の中にあるなら、今頃俺はチーレム街道まっしぐらだわ。


 「そうか。お前のスキルとかいう謎のステータスが勇者から受け継いだ能力なんじゃないかと思ったんだがな」

 「ギルドマスターもスキルをご存知じゃないんですか?」

 「あぁ、聞いたことも見たこともねぇな。どんな代物なんだそりゃ」

 「見せた方が早いと思うんで、鑑定石をお借りできますか?」

 「おう」


 スキルを見せるために先程と同様に鑑定石を起動させて、ステータスを見られるようにする。


 「ほぉ。確かにあるな。…ってなんだこりゃ、とんでもねぇもんがあるじゃねぇか」

 「あー、限界突破とか起死回生とか、ですかね」

 「あぁ、痛覚が無効だとか、能力が数倍だとか、意味が分からねぇ」


 まぁ、確かに意味が分からないってのは俺も同意だ。

 本当に何で俺にだけこんな訳の分からない能力があるのか。


 「だが、こんなものを持っていてLv1ってのはどういうことだ? この能力の効果を考えればレベルが高くなればなるほど、その効果が凶悪になるはずだが?」

 「えぇ。そのことについても話を聞かせてほしいんですけど…」


 スキルのことを知らなかった以上たぶんレベルが上がらないことについても知らない可能性が高いが、一応聞くだけは聞いておこう。


 「……そういう理由があったのか。期待に添えなくて悪いがそんな事例は聞いた覚えがないな。スキルっていう規格外の能力を持っているが故の弊害ってやつなのかもな」

 「やっぱりそうなんでしょうか」

 「おそらく、だがな」


 これで、ほぼ確定か。

 俺のレベルは1から上がらない。

 俺が強くなるためにはスキルと称号を取得するしかないってことだ。

 まぁ、無い物ねだりをしても仕方がない。俺は俺にだけある能力を伸ばしていけばいいだろう。

 そうと決まればこの話は終わりだ。次の話に移ろう。

 というより、むしろこれが今日の本題と言っても過言じゃないんだよな。

 さぁ、どう切り出そうか……。


 「んじゃあ、アスマよ。スキルってやつの性能を今から俺に見せてくれないか?」

 「え? あー、はい。別にいいですけど」

 「おし、じゃあ訓練所に行くぞ。付いてこい」


 しまった。話を切り出しそびれた。

 まぁ、いいか。スキルを見せ終わった後でも。


 「あぁ、回復薬はこっちで負担するから心配しなくてもいいぞ」


 ……は? 回復薬?

 いや、ちょっと待て。回復薬が必要になるスキルって、もしかして限界突破とか起死回生を使わせようとしてるのかこのおっさん!

 まじかよ。勘弁してくれよ。

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