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衝動13

 突き出されたクレアの拳に自分の手を重ねてその温もりに触れることで精神の平常化を図る。

 頭の中は未だにぐちゃぐちゃとした様々な負の感情が入り交じった思考に支配され、ザックに対しての怒り、中級冒険者二人に対しての怒り、ゲインさんへの怒り、そして自分自身への怒りが際限なく心から沸き上がり続けている。

 だが、ゲインさんに対して魔術を行使しようとした時に覚えた自分自身への疑問が、こうして守りたいと誓った相手を目の前にしたことで一気に氷解する。

 守るべき対象を放って怒りのままに暴れ、違和感を覚えることすらもなく衝動に突き動かされ短絡的な行動を取り続けるなんて普段の俺ならまず間違いなくしないことだ。

 怒りを覚えることがないということはもちろんないが、それでも平常時の俺ならば怒りに任せて騒ぎを起こした場合の後のことを考えて実際に行動を起こすようなことは絶対にしないだろう。

 しかし、結果として感情的に行動を起こしてしまった俺は多少なりとも周りに対して迷惑を掛けてしまっている。

 それは何故か、と考え真っ先に思い浮かぶのはスキルの存在だ。

 そして、そこまで思考が及びようやく先程の騒動が始まる切っ掛けになったザックの暴言を聞いた時に何らかのスキルを取得していたという事実を思い出し、ステータスを開きスキルの一覧を調べていくと、一つの見慣れないスキルが増えていることが確認出来た。

 そのスキルのは名前は《獣の衝動Lv1》。発動条件は怒りの感情が一定以上に達することで、効果は怒りの感情を呼び起こすことで本能的な破壊と殺戮の衝動を増幅させ自身の暴力性を高めると同時に肉体能力を向上させるというものだった。

 ……これはまた何ともとんでもないスキルを取得してしまったものだ。使い勝手が悪いにも程がある。

 発動条件が怒りをトリガーとしている以上はこれからもこのスキルが勝手に発動してしまう機会は何度もあるだろう。

 正直、肉体能力が向上することについてはありがたいが、怒りの感情を増幅させるというのは厄介なことこの上ない。

 それによって中級冒険者の攻撃すらも無効化する程に《赤殻》の障壁が強固になることは良いことなのだが、そのせいでそれがただのデメリットとしてカウントされずに《限定解除》の効果で消えずに残っているのだろうから物は考えようだ。

 そして、またしてもLvがついているスキルだが、これは本当に一体何なんだろうか?……謎だ。

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