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待機

 戦闘の経験に関してはそれでどうにかするとして、今日はそれ以外の部分を鍛えるために前に決めていた通りクレアと二人で冒険者ギルドへとやってきていた。

 この日のためにクレアのレベルが5に到達した時点で冒険者証の発行は済ませてあるのでいつでも正式にギルドの任務を受けることが可能となっている。

 なので、あとは俺たちを一時的にパーティーに加えてくれる人たちを探すだけなんだが、正直俺もクレアも見ず知らずの相手にいきなり話し掛けられるような性格ではないので丁度受付に居たテレサさんに頼んで、下級の冒険者が受ける中でも簡単な部類の任務を受けるパーティーに俺たちを同行させてくれないかという話をしてもらえることになった。

 正直こういう頼みごとは自分自身でした方がいいのかもしれないが、どう言ってそういう募集を掛ければいいのかも分からないし、知らず知らずに失礼なことを言ってトラブルになったりしたら嫌なのでここは職員のテレサさんに任せるのが最適だろうということで、俺たちは邪魔になる武器を外し備え付けのベンチに腰掛けてその時が来るのを大人しくじっと待っているところだ。


 「あー、ついに初任務を受けるって考えると何か緊張してきたな」


 待っている間に徐々に不安が首をもたげてきたので、それをまぎらわすために隣に腰掛けているクレアに内心を吐露する。


 『……そうだね……でも今まで任務以外で……何度も戦ってるんだし……いつも通りにやれば……上手く行くよ』

 「うん、まぁよっぽどのことがない限りは俺も大丈夫だろうとは思ってるんだけど、それでも初めてだから変な失敗とかしそうでちょっと恐いんだよな」


 以前は普段からクレアに弱味や情けないところを見せまいと虚勢を張って自分を大きく見せていた部分があったのだが、最近では街の外などで自発的に意識を切り換えでもしていない限りはこのように弱音を吐いたりしてクレアを頼るようになっていた。


 『……失敗はするかもしれないけど……二人で一緒なら大丈夫だよ……だからアスマ君一人で……あんまり頑張らなくても……いいんだよ……ね?』


 そう言ってクレアは安心感を与えるように俺の手に自分の手を重ね微笑み掛けてくれた。


 「ん。そう、だな。クレアが一緒で、他にも人がいるんだから別に俺一人がそんなに気負う必要なんてないんだよな」

 『……うん……焦らないで……自分に出来ることを……しっかりこなせば……いいと思うよ』


 クレアのその言葉に頷いて答え、緊張を解すように深く呼吸を繰り返す。

 そうだよな。俺に出来ることなんてたかがしれてるんだから、変に頑張ろうとせずに今は与えられた役割をきっちりと完遂すればそれでいいんだ。

 そうして少しずつ出来ることを増やしていって、いずれ先に行っているミリオたちに追いつけるように努力しよう。

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