レベル上げ9
その後もミリオが誘導したきたゴブリンやコボルトなどといったこの森では見慣れた魔物と戦闘を行うことで経験を積み重ねると共にクレアとの連携を強化し、実戦で様々なことを試すことで着実に戦闘技術を向上させていった。
だが、その日はクレアの体調を考慮して目に見えて疲労してしまう前に早々とレベル上げを切り上げ街へと帰ることにした。
「二人とも今日はお疲れ様」
「あぁ、ミリオもお疲れ」
『……お疲れ様』
家へ帰り装備を外しているとミリオからこちらを労う言葉が掛けられたので、それに返事をして互いに微笑み合う。
「うん。それでクレア、体調の方はどう?胸が苦しかったり、呼吸がしづらかったりしない?」
『……うん……大丈夫だよ……ありがとう……お兄ちゃん』
心配するようにミリオがクレアへとそう質問をするが、前回とは違い今日のクレアは多少の疲労感を感じさせてはいるものの体調は良好のように見える。外傷も負っていないので特に気にかかる部分はなさそうだ。
でも、やっぱりミリオもクレアのことをしっかり気に掛けていたんだな。まぁ家族なんだから当たり前と言えばそうなんだけど、何か良いよなそういう関係って。
「そっか、問題がないようなら明日以降も今日と同じようにレベルを上げるために森へ行こうと思うんだけど大丈夫そう?」
『……うん』
「アスマもそれで大丈夫?」
「え、俺?あぁ、俺はもちろん大丈夫だぞ」
こっちに話を振られるとは思ってなかったのでちょっと間の抜けた反応をしてしまったが、元より俺はクレアが街の外へ出る時は絶対に同行しようと思っているので確認なんて取る必要は全くない。
「じゃあそういうことで明日も朝から森へ行こうか。流石に何日も続けて行くと体力も持たないだろうから折を見て休息日は挟むつもりだけど、疲れているなら遠慮なく言ってくれればいいからね。その時はまた別で休息日を設けるから」
……流石はイケメンのミリオさんだ。そういう細かい気配りが出来るところは本当に尊敬する。
俺もそういう風なところできっちりと気を使える男になれるように見習いたいものだ。
「それじゃあ他に何か質問はある?ないようならこれで僕からの話は終わりにするけど」
「俺からは特に何もないかな」
『……私も……大丈夫だよ』
「そっか。じゃあ明日に備えて今日はしっかりと休むようにね」
ミリオからの話が終わり、その日はそれから特に変わったこともなく夜まで家でゆっくりとした時間を過ごした後シャーロットの店へ行き魔術の訓練を行い、一日が終わりを告げる。
そして、それから一ヶ月の時が経った。




