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レベル上げ7

 そしてミリオがこちらへ戻って来てから少しの間をおいて、ようやく誘導して来た魔物がその姿を現した。


 「ゴブリンか」


 それは以前の再来とでも言うべきか、木々の合間から現れたのは二体の小さな緑色の鬼、ゴブリンだった。

 先日クレアはこのゴブリンと戦い、その生命活動に止めを刺したところで一時的に自己を喪失し心が危うい状況へと追い込まれてしまった。

 何故そうなったのか詳しくは分からないが、恐らくは精神的な疲労や恐怖などといった様々な要因が重なったことが原因なのだと思っている。

 その時は多少強引な手段を用いて何とか正気を取り戻させることが出来たが、ある意味その時のトラウマとも言える相手を用意してくるとはミリオも人が悪い。

 強くなりたいのならその程度の壁ぐらい早々に乗り越えて見せろということなのか、それともミリオなりに何かしらの考えがあるのかは知らないが、何にしても結構なスパルタ具合だ。

 その相手に対してクレアがどのような反応を示しているのか気になり、それとなく視線を向けてみると以前は見られた緊張や焦りなどといった感情は窺えず、先程と変わらず落ち着いてゴブリンの姿を見据えているようだった。

 内心ではどう思っているか分からないが、少なくとも表向きに平静を保てているのなら精神状態はそう悪いものではなさそうだな。

 そのことに安堵すると共に、自分も気を抜いてへまを仕出かさないように意識を戦闘に適した集中状態へと切り替えていく。

 そして、ゴブリンたちがこちらに気付き駆け出してきたところでこちらも行動を開始するためにクレアへと声を掛ける。


 「クレア、俺があいつらの注意を惹き付けるから隙を見つけ次第斬り伏せてくれ」

 『……わかった!』

 「よし、じゃあ行くぞ!」


 気合いを込めた掛け声を上げると同時に身体能力を向上させるスキルを発動させ、正面からゴブリンへと向け駆け出す。

 自身へ注目を集めるためにクレアの姿を背後へ隠すようにしながらゴブリンの前に立ち塞がり、わざと両腕を下げ隙を晒すようにして無防備を演じる。

 するとゴブリンは安直に手に持った粗末な棍棒を振り上げこちらへ叩きつけようとしてきたので、それが振り下ろされるよりも早く前へ出て片方のゴブリンの攻撃を盾で受け止め、もう片方のゴブリンの手首を槍の棒部分で打ち付けることでその手に握った棍棒を取りこぼさせることに成功する。

 そして、その衝撃でよろめき数歩後退してしまったゴブリンの元へ俺の後ろから飛び出したクレアが肉薄し、両手に握った短剣の片方に魔刃を発生させゴブリンの喉元へ突き込んだ。


 「ゴッ!?」


 その突きにより喉を突き破られ器官部に致命的な損傷を負ったゴブリンはそのまま後ろへと倒れ込む。

 それを確認した直後にクレアは俺が押さえているもう一体に迫るが、クレアの接近を感知したゴブリンは盾に押し付けた棍棒に込めた力はそのままに、もう一方の空の手でクレアに掴み掛かろうとしたが、クレアは身を捻ってその腕をかわすと魔刃を用いた下から斬り上げる一撃でゴブリンの伸ばした腕を肘から断ち切る。


 「ギッ!?」


 そして、腕を斬り飛ばされ怯んだゴブリンの元へ一歩踏み込むと、先程のゴブリンにしたように短剣をその喉元へと突き込むことで戦闘不能に追い込んだ。

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