魔術訓練9
「それでそのムラをなくすには具体的にどうすればいいんだ?俺は先生みたいに魔力を見えるようになんて出来ないから調整していくにしても限界があるんだけど」
「あぁ、それに関してはこうすれば解決する」
そう言ったシャーロットが何をするのかと注視していると、その身を覆っていた魔力が掌に集まり以前にも見た魔力球が形成される。
「ほい」
「え?は?うわっ!?」
そして、何を思ったのかシャーロットはその魔力球を俺目掛けて投げてきたので、反射的にそれを受け止めようとして手を伸ばしたのだが、それに触れる寸前で急に魔力球の形状がまるで俺を飲み込もうとしているかのように大きく変化し、目を白黒させている内にいつの間にかそれは俺の体を包み込んでいた。
「……何これ?」
「我の魔力だ」
「いや、それは知ってるよ。じゃなくて、何でそれで俺のことを覆ったの?」
しかも何の前触れもなしに。
正直今かなり焦ったからな。危うく体内で高めている魔力を暴発させるところだった。本当に心臓に悪いから急に変なことするのは勘弁してくれ。
「これは言葉で話すより体験してみた方が分かりやすいだろう。軽くでいいから魔力を体内から体外へ放出してみるのだ」
「え?あ、はい」
良く分からないがやってみろというのならば四の五の考える前にとりあえずやってみよう。
言われた通りに体内で練り上げた魔力の一部を外へ向けて放つが、体を覆っているシャーロットの魔力にそれが触れた瞬間反発力のようなものが生まれ弾かれてしまう。
そして、唐突に訪れたその衝撃に操っていた魔力の制御を手放してしまい、それは呆気なく魔素へと還元され空気に溶けて消えてしまった。
「うぉっと。あー、何か魔力が弾かれたんだけど?」
「うむ。そのための魔力障壁だからな」
「へぇ魔力障壁か。魔力ってこんな使い方も出来るんだな。で、これで何すんの?」
「これを使って先程貴様が言っていた魔力のムラをなくすための具体的な方法とやらを実践させてやろうというのだ。魔力の操作に大きな揺らぎがあればこの障壁に魔力が弾かれてしまうから、その障壁に魔力が触れないように繊細な操作を心掛けて魔力の境目を見極めるのだ」
「うっす」
何と言うかまた随分と古典的な感じのする訓練方法だな。まぁ、分かりやすくていいんだけど。
えっとそれで。障壁に触れないように気をつけて魔力を解放。これぐらいかな?いやもう少し抑え気味の方がいいか?
うーん、難しいなこれ。やっぱり体の外に出すと魔力の操作が途端に難しくなる。これはなかなか厳しいかもしれないな。




