スキル制
「いや、何って、スキルだよスキル。ほらステータスにでてるだろ?」
確かに最初は気づかなかったけど、レベルが上がればそのたびに能力の確認ぐらいはするだろうし、まさかそれに気づかないってことはないはずだ。
「え? うーん…いや、スキルなんてものはどこにもないと思うんだけど」
「いやいや、なんというか、こう、ステータスの画面を下から上に動かすような感じで滑らせるんだよ」
「え? 滑らせるって? えっと…うん? ごめんよく分からないんだけど」
「あー、口で説明するのって難しいな。どう言えばいいか」
せめてステータス画面を他人にも見せられたらいいんだけど、今ミリオが見ているであろう画面も俺から見えてないってことは自分以外にはこの画面は見えないってことだろうし。
「というより、そもそもアスマの言ってるスキルっていう言葉自体聞いたことがないんだけど」
「えぇ? いや、でも実際に俺のステータスにはあるんだけどな」
実は俺だけがスキル持ちで他の人はそんなもの持ってないとか?
いやいや、んなことあるわけないだろ? なんだよそれ、チートかっての。
…チート?
あれ? こういう展開って、どっかで見たことがあるなー。
あー、うん。
…これってもしかしてあれか?…異世界召喚特典?
昔から物語、っていうか漫画とかだけど、そういうのでよくある勇者として呼び出された人が異常なぐらいの身体能力を持ってたり、そんなもん持ってたらもう誰にも負けねぇじゃねぇかっていうぐらい強力なユニークスキルを持ってたりとかする、あれなのか?
まさか、俺はチーターだったのか?
…でも俺、この世界で目が覚めた時って、よくありがちな王城とかじゃなくて、どっかの森の近くの原っぱだったんだけど。
しかもゴブリンに殺されかけたぐらいの雑魚だったよ俺。
とてもじゃないけどそんなチート能力なんて持ってないと思うんだけど。
…とりあえず、スキルの確認してみるか。
ステータス画面のスキルの項目に目を落とす。
【スキル】
《限界突破》
《起死回生Lv1》
《抗う意志》
《不屈》
《自己再生Lv1》
《戦士の咆哮》
何か、ぱっと見て効果が分かりそうなのが自己再生ぐらいしかないんだけど。
…というかどう見ても経験値とかレベルの上昇にマイナス補正が働きそうなスキルがあるようには感じないんだが。
と、スキル以外に称号なんて項目もあるじゃないか。
でも、こっちはもっと関係なさそうなんだけど。
【称号】
《不屈の闘士》
《死に損ない》
《逆境の戦士》
どういう基準でこの称号をつけられたのかは分からんけど、流石に死に損ないっていうのは酷くないか。こんなんただの煽りじゃねぇかよ。
知り合いとすれ違う度に「よぉ、死に損ない」とか言われたら平静じゃいられねぇわ。
まぁ、そんなことはどうでもいいんだけど。
それよりもこれって効果は見れないのか?
…よし、でた。
効果を見たいスキルに意識を向けたら詳細画面が出てきた。
なんかステータス画面の使い方が段々分かってきたような気がする。
《限界突破》
肉体が一定基準の苦痛を受けることで発動。
能力発動中は痛覚が無効になり、肉体が活動限界を超えても意志の力で操作することが可能。
ただし、物理限界を超える操作はできない。
…なんじゃこりゃ。いきなりとんでもないスキルが出てきやがった。
直接戦力が上昇するわけじゃないけど、いざというときにはかなり役にたちそうなスキルじゃないか。
ただ、発動条件が一定基準の痛みっていうのがちょっと分かりづらいな。
一定基準ってどれぐらいなんだか。
《起死回生Lv1》
肉体の損傷が一定基準に達することで発動。
全能力を数倍に跳ね上げる。
肉体の損傷具合によりそのレベルは変動する。
うわー。このスキルうわー。
発動条件が肉体の損傷って。
限界突破と似たような発動条件だけど、あっちは極論痛みさえ感じれば発動できる感じだけど、こっちはあからさまに損傷だもんな。
しかも損傷具合でレベルが変動って…。
いきなり二つのスキルがドM仕様なのは何でなんだ…。
というかこの二つのスキルって、多分、最初にゴブリンにぼこぼこにされた時に発動してたっぽいよな。
あの時、妙に簡単にゴブリンを押し退けられたし、そういえば痛みもなかったような気がするし。
もしかして、あの戦闘中に手に入れたスキルなのか? だとすれば納得できなくもないけど。
まぁ、いい。次だ。
《抗う意志》
全ての精神異常状態に対して耐性を持つ。
ただし、効果は意志の強さに比例する。
おぉ。これは素晴らしい。
効果が意志の強さに比例するってところが引っ掛かるけど、文句なしに強スキルだろこれは。
精神異常耐性って恐怖、混乱、魅了とかその辺の状態異常だよな。
これはLv1が持つにはちょっとチートっぽいスキルだな。まぁ、耐性であって無効ではないからプチチートって感じかな。
よし、次。
《不屈》
極限状態に追い詰められるほどに強力な意志力を発揮させる。
…え? それだけ?
いや、限界突破とか、抗う意志の効果を引き出すのにはかなり使える効果ではあるんだけど、追い込まれないと本領を発揮しないってなんか、ねぇ。
うん。次。
《自己再生Lv1》
肉体の自然治癒力を高める。
普通ー。
この上なく分かりやすい説明ではあるけど、最初の方のスキルが印象強めなやつばっかりだったからなんか力が抜けた。
スキルは次が最後だな。
《戦士の咆哮》
咆哮を上げることにより自身を昂らせ、一時的に筋力を強化することができる。
きた。デメリットなしの自己強化スキル。
これだよ、こういうのを待ってたんだよ。
どの程度筋力強化できるかは分からんけど、ステータスの低い今の俺には少しでもかなり効果的だ。
でも、やっぱりスキルにはレベルが上がらない原因になりそうな効果を持ったやつはなかったな。
称号、はそもそも効果とかあるのか?
《不屈の闘志》
絶望的状況でも決して諦めない強い闘志を持つ者に与えられる称号。
基礎耐久力に小ボーナス。
お?耐久力に小ボーナス、だと?
なんてこった。称号お前、神かよ。
持ってるだけでステータス上昇って、やるやん。
小ボーナスってことは大した数値ではないんだろうけど、それでも積み重なれば山になる理論だ。
称号をいっぱい集めればそれだけで強くなれるじゃないか。
最高だな。集め方は知らんけど。
《死に損ない》
極限の状態から生き残った者に与えられる称号。
基礎耐久力に小ボーナス。
こっちも耐久力か。
…というか耐久力ってなんだよ?
いや、耐久力の意味は分かってるんだけどな。
なんだろう、耐久力が上がったらそのうち防具無しでも剣を皮膚で弾いたりとかできるのかな?
想像できないんだけど。
《逆境の戦士》
圧倒的不利な状況を覆した者に与えられる称号。
基礎筋力に小ボーナス。
お、こっちは筋力か。
それにしても全部小ボーナスなんだな。
どの称号も絶望的とか、極限とか、圧倒的とかって表現使って説明してるぐらいだから中ボーナスぐらいくれてもよさそうなもんだけどな。
まぁ、くれるだけありがたいんだけどさ。
…さて、これで、スキルも称号も全部確認し終えたわけなんだけど、結局レベルの上昇を阻害しているものはなかった。
となると、考えられる理由は一つだな。
そう、原因はこのスキルだ。
ミリオが言っていたことが本当なら、というかあいつが言うんなら本当なんだろうけど、この世界の住人はスキルを持っていないってことになる。たぶん称号も。
でも、そのかわりとして魔物を倒すとレベルが上がってステータスが上昇すると。
逆に俺は魔物を倒してもレベルが上がらないかわりにスキルと称号で、ステータスを伸ばすことができると。
…なるほど。俺だけスキル制ってことか。
たぶん理由は俺がこの世界の人間じゃないから、なんだろうけど、正直なんで俺だけがレベルアップの適用外なんだ?
この世界がレベル制の世界なら俺にもそのルールを適用させればいいだけじゃないのか?
…分からん。
まぁ、まだレベルが上がらないと決まったわけでも、本当に俺以外にスキルを持ってるやつがいないとも決まったわけじゃないからなんとも言えないけど。
最悪な状況だけは回避できたことに安堵する。
もしレベルが上がらなくても強くなる方法があるということが分かっただけでも大収穫だ。
ふぅ。よかったよかった。
…あ、でもレベルが上がらないんだとすれば、冒険者の最低レベルのLv5になれないじゃないかよ。
…えー、どうしよ。
タイトル回収っていっていいのかな?




