表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/644

レベル1

 「……どういうことなんだ。なんでレベルが上がらねぇんだ」


 魔物の討伐を始めてから今日で四日目。今はその日の夜で場所はミリオの家だ。

 この四日の間で、俺は結構な数の魔物を倒してきた。

 初日にスライム三体と、ホブゴブリン一体。

 二日目にスライム二体、ゴブリン四体。

 三日目にスライム三体、ゴブリン三体、ホブゴブリン二体。

 そして今日、コボルトを十体以上倒した。

 ……今日の成果がおかしいって?

 わかる。

 まぁ、元凶は俺なんだけどな。

 けど、あれはしょうがなかったところもあるんだよ。

 本当に。

 何があったかって言うと、いつも通り東の森に行ったんだけど、そこで四体のコボルトと遭遇したんだ。

 で、ミリオとアンネローゼが戦闘に入ったんだけど、一対一以外では戦うなっていう教えを守って俺は後ろで控えてたんだ。

 けど四体のコボルトのうち一体が俺たちの脇をすり抜けて先に進もうとしてたから、先回りしてそのコボルトの前に立ち塞がった。

 それを見たコボルトは一瞬ぎょっとしたような顔をしてたけど、すぐに気を持ち直してジグザグに動きながら俺をかわして先に行こうとしてたんだけど、正直ミリオたちに比べると大したスピードでもなかったから、俺を抜き去ろうとした瞬間に脇腹を小剣で斬りつけたんだ。

 割と深く斬りつけたから、そのコボルトはもう動けなくなってその場にうずくまってたんだよ。

 だから無駄に苦しませないように止めを刺しに近づこうとした時に、全身が揺さぶられるぐらいの激しい鳴き声をあげられて俺もかなりびっくりしたんだけど、その鳴き声につられて他の魔物が寄ってこないとも限らないからすぐに止めを刺したんだ。

 でも、もう遅かったんだってことがその直後に分かった。

 ミリオとアンネローゼが慌てた様子でこっちまで駆け寄ってきた時には全方位にコボルトが集まって来てて、そこから乱戦が始まった。

 ミリオとアンネローゼはなるべく俺を守りながら戦ってくれてたんだけど、それでも相手の数が数だけに、どんどんと俺は二人から離されて気づいた時には四体のコボルトに囲まれていた。

 集団戦なんて経験したことがなかったから、それはもう散々に殴られたし、蹴られたし、噛みつかれたけど、どれも防具の上からだったから致命傷にならずに済んだのは運が良かった。

 正直、この世界に来たばかりの頃にこの展開に巻き込まれてたら確実に死んでただろうと思う。本当に防具様々だ。

 で、ぼこぼこにされながらも隙を見て一体ずつコボルトを斬り倒して、何とかその包囲網を抜け出せたんだけど、抜け出した直後にまた囲まれて、抜け出しては囲まれてを何度か繰り返して、自分でも途中からどうやって戦ってたかあまり覚えてないけど、気づいたらミリオとアンネローゼが助けに入ってきてくれて何とか無事にコボルトを全滅させることができた。

 変な幻聴も聞こえたりしたし、本当に散々だった。

 後で聞いた話によるとコボルトって雄に対して雌の数が圧倒的に少ないらしくて、最初に俺が倒したコボルトがその雌だったらしく、その鳴き声を聞き付けた大量の雄コボルトが押し寄せたのがことの原因らしい。

 ……いや、だってそんな情報俺知らんし。

 仮にその情報知っててもコボルトの雌雄の違いなんて見ただけじゃ絶対に分からんし。

 まぁ、三人で無事に帰ってこられたから良かったんだけどな。

 ……ふぅ。さて話が大分逸れたけどそろそろ本題に戻るとしようか。

 議題は、俺のレベルが上がらない件について。

 これは本当にまいった。まさかこんな予想外の展開になるなんて思ってもみなかった。

 まずいな。本当に頭が痛くなってくるほどにまずい。

 正直、レベルという概念があるこの世界をLv1で生きないといけない場合あまりにもデメリットが多すぎる。

 まず、魔物への決定的な対抗策がとれない点だ。

 これは本当に死活問題で、最下級の魔物なら今でも問題なく倒せているけど、正直ここがLv1の限界だ。

 まず、筋力が足りないせいで、一定以上の強さを持つ魔物にはダメージを与えることができない。

 敏捷性も足りない。魔物には俺より素早く動くやつなんていくらでもいる、そんなやつが複数で現れたらまず間違いなく何もできずに殺されるだろう。

 たとえ魔法を覚えたところで、その根本的な部分の解決にはならないだろうしな。

 ひとたび魔物が大量に街に押し寄せてきでもしたら間違いなく俺は死ぬ。

 これは確定だ。

 魔物のことについても絶望的だが、多分レベル1じゃ俺は職につくこともできないだろうと思う。

 まず、俺みたいなどこから来たかも分からないような怪しいやつを雇い入れてくれる店なんていないだろうし、そもそもレベル1というのがかなりのマイナスポイントだ。

 あとはある意味これが一番恐いんだけど、悪意のある人間に対しては魔物以上にどうしようもなく無力だ。

 あまり知恵の発達していない本能だけで行動しているような魔物なら、まだ逃げるだけならなんとかなるかもしれないけど、それが人間となると話しは全く別になる。

 俺がレベル1だということが知れれば、間違いなくちょっかいをかけてくるやつらは出てくるだろう。

 身ぐるみを剥がされて、面白半分で魔物の群れの中に放り込まれるかもしれない。

 でも一番最悪なのはそのことでミリオやクレア、アンネローゼに害が及ぶことだ。

 この三人はこの世界での俺の唯一失いたくないものだ。

 もしも、俺が原因でこの三人に何かあった場合俺はもう正気ではいられないだろう。でもレベルが上がらない現状ではそうなった場合でも復讐はおろか抵抗すらできないだろう。

 それは本当の意味での絶望だ。抗うことすらできない最低最悪の絶望だ。

 そんなことにならないためにも今の現状を打破する手を早く見つけないといけない。

 でも、さすがにこれだけの数の魔物を倒してきたのに一つもレベルが上がらないなんてどう考えてもおかしい。

 最近では魔物を倒し過ぎたせいなのか、一体倒すごとにあんなに感じていた、あの罪悪感のようなものも完全に麻痺してしまっている。

 慣れではなく、麻痺だ。多分だけど。

 自分が命を奪うことにそんなに簡単に慣れてしまうわけがないと、そう思いたい。

 今はレベルが上がらないことに対して焦っているから他の感覚が麻痺しているだけだと信じたい。

 ……また話が逸れてるな。

 でも、正直なんでレベルが上がらないかなんて、分からんもんな。ミリオに聞いた話じゃこれだけの数を倒せば間違いなくレベル5はいっていてもおかしくないって話だし。

 もしかしてバグってんのか? それとも呪いとか? 呪いなら教会で解呪とかできるかもしらんけど、バグの場合はもう完全にお手上げになっちまうからな。

 とりあえずステータスを確認してみて状態異常・呪いとかになってないか見てみよう。状態異常が調べれるのか知らんけど。

 この前開いたばっかりだから今回はすんなり開けたな。

 ええと、上から名前にレベル、各能力値だけか。状態は載ってないのかな? それか正常だから記載もないだけなのか。

 わざと毒状態とかになってみたら早いかもしれないけど、そのまま死んだら嫌だしそう簡単には試せないよな。

 んー。それにしてもステータスってこれだけなのか?もう少しなんか色々見れたりしないのか?

 あ、なんだよまだ下に続きがあるじゃねぇか。

 スマホかタブレットみたいに画面を滑らせるイメージを浮かべたらステータス画面が下に動きやがった。

 えっと。おぉ、スキルか。やっぱりそういうのもあるんだな、さすがは異世界自重してないな。


 「……あ、そうか。そういうことか!」

 「?どうしたの急に。何か分かったの?」

 「あぁ、もしかしたらなんだけどさ、スキルの中にレベルが上がりにくくなるマイナス効果を持ったやつがあったりするんじゃないか」

 「……スキル?」

 「そうスキル。なんだよ、スキルとかあるならあるって先に教えてくれよ。自慢じゃないけど俺って本当に何にも知らないからな」

 「……ねぇ、アスマ」

 「ん? 何?」

 「……スキルって、何?」

 「は?」


 ミリオは不思議なものを見るような眼でこちらを見つめてくる。

 ……え? 何だこの反応。

 ……何かが、おかしい。

ちょっと迷走した

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ