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酒場9

 「お、おい? なんだこいつ、急にどうしたんだ?」

 「えっと。たぶんなんだけど、今まで自分でも気づいてなかった気持ちを、実は以前から知られていたってことを恥ずかしがってるんじゃないかな? アスマってこう見えて意外に繊細だから」


 ……あぁ、そうだよ。その通りだ。でもな、それ以上にそれを自分が好いている相手にも知られていたかもしれないってことが一番応えてるんだよ。

 うー駄目だ、本当に体から湯気でも出てるんじゃないかってぐらいに、血液が煮えたぎっているような熱さを感じる。特に顔がのぼせた時のように熱い。


 「くはっ、本当にうぶだねぇ。なんかここまでくると微笑ましくなってくるわ」

 「はっ、これが若さってやつなのかねぇ。まぁ、俺らもそこまで歳は変わらんと思うが。そんで、さっき言ってたそのクレアって娘がアスマの想い人なんか?」

 「あ、うん。クレアは僕の妹なんだけど、色々あってあの子はアスマにすごく懐いててね、アスマ自身も満更じゃないみたいだったし、まぁそういう関係になるのは時間の問題かなって前から思ってたんだよね」


 ミリオさん、俺たちのことそんな目で見てたのか。

 でも、俺のクレアに対する好きだという気持ちは恋愛感情のそれだけど、クレアの俺に対する好意もそれなのかどうか分からない以上はどうしようもない。この気持ちを打ち明けて、もし向こうに一切そんな気がなかった場合はすっごい気まずいことになるし。


 「おいおい、仲間の妹に手を出そうとするなんて、なかなか大胆なやつだなアスマ君よ」


 それは言わないでください。正直、それに関しては俺も思うところはあるんだ。でも、ミリオにはすまんが一度この気持ちに気づいてしまった以上はもうこの衝動は止められそうにないんだよ。


 「というか、お前ら同じ家に住んでるんだよな? だったら、んなもんもう同棲してるようなもんじゃねぇかよ。なら、さっさとくっつけばいいもんを。妹さんもそいつのこと好きなんだろ?」

 「うん、それは間違いなくね。クレアもアスマのことを一人の男性として好きだと思うよ」

 「え!? 本当に!?」


 ミリオが放った衝撃的な一言に思わず伏せていた顔を上げ、椅子から転げ落ちそうな勢いで体ごとミリオの方へと向ける。


 「うぉっ! びっくりした。なんだよ、倒れ込みながらしっかり聞いてやがったのかよこの野郎」


 テッドさんちょっと黙ってて、今大事なことを聞こうとしてるところだから。


 「ミリオさん、今の話本当ですか?」

 「いや、本当だけど、目が怖いよアスマ。ちょっと一度落ち着こうか」


 椅子から中腰の状態で立ちあがり、ミリオへ詰め寄るように体を近づけると、両肩を手で押され強制的に、再度椅子へと座らされてしまう。

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