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 「いや、何って。……うん、何やってんだろうな」


 本当にな。

 でも、分かっていたことだけど、普通に魔力を解放しただけじゃこういう結果になるよな。

 やっぱり、俺とシャーロットでは魔力の扱い方に違いがあるということなんだろう。それも決定的な違いが。


 「で、どうだった? 俺の魔力操作」

 「駄目ですね。全然なっていません」


 ……思わず素で返しちゃうぐらい駄目ですか。

 まぁ、駄目なんだけどさ。だからこそ相談に来たわけで、むしろその反応以外が返ってきたらそれはそれで困るんだけど、他人に直接言われるとちょっとへこむよなって。

 これでも日々精神的に成長してるとは思うんだけど、それは進歩ではあっても進化ではないので、全く落ち込まなくなる精神構造を手に入れたわけではない。

 ガラスのように繊細な心が、鋼のような強度を手に入れるためにはまだまだ経験と時間が必要になりそうだ。


 「ですよね。それで、どの辺が駄目だった?」

 「どの辺、というかですね、まぁ端的に言ってしまえば全部としか」

 「ははっ。そっか、全部か。うん、全部ね。……はぁ」


 ……俺の努力とはいったい。

 俺が魔力操作の鍛練を始めたのは半年程前のことだから、この世界で生まれ育った人たちに比べると魔力の扱いが下手なのは仕方がないことだ。今までそんな力に触れてこなかったんだからそれはしょうがない。

 だが、魔力操作の技術が伸び悩んでいたことを誰にも相談せずに自分の力だけでどうにかしようとしていたのは、やっぱりどこかで物事を楽観的に考えていたところもあるんだろう。

 なんだかんだで様々な状況を上手く生き延びてこられたことも原因なんだろうが、大抵の事態は周りのおかげでなんとかなっただけということを忘れてはいけなかった。

 でも、気づいたからには今後は二度とそんないい加減な考えは持たないようにしないといけない。慢心、ダメ絶対というやつだ。

 不幸が訪れてからそれを嘆くぐらいなら、最初からそうならないように最大限の努力を重ねておくべきだ。俺のように持っている力を最低限しか扱えてないくせに強くなった気でいた未熟者なら尚のことだ。


 「落ち込む必要はありませんよお兄さん。貴方にはボクが、ううん。貴様には、この我がついているのだからな」


 俺が自分の至らなさにため息を吐いているのを見てか、シャーロットは自身を指し示すかのように胸に手を当て、俺を安心させるように尊大な口調で、そう言葉を掛けてきた。

 正直、そこまで落ち込んではいないんだけど、その心遣いは嬉しいものなので素直にそれに乗っておく。


 「あぁ、そうだな。なんたってシャロちゃんは世界最強の魔術師なんだもんな。そんな子に技術を教えてもらえるんなら百人力ってもんだよな」

 「ふっ、当然だな。良かろう、貴様には我が秘伝の手法を以って魔力操作技術を叩き込んでやろう」

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