ライカ2
「あ、そういえばなんだけどさ。そもそもライカってなんなんだ?」
「なんなんだ、とは?」
自分で言っててあれだが、いきなり個人を指してなんなんだ、って言い方はさすがにちょっと失礼だったな。
上手い言葉が思いつかないけど、この疑問を伝えるにはどうすればいいか……。
「あー、いやさ、なんて言うか、ライカのことをシャロちゃんからは使い魔だって聞いてるけど、俺はその使い魔について詳しくないから知らないんだけど、元々ライカは魔物なのか? それともただの動物?」
そもそも使い魔って言葉自体、元の世界の創作物でしか見たことがないわけなんだけど、大抵の作品では魔術師と契約を交わした生物、低位の魔物であったり小動物のことをそう呼んでいたはずだ。
でもそれはあくまでも創作の中での話であって、目の前に存在しているライカには当てはまらない。
じゃあこいつはなんなんだろうっていう疑問を抱いたわけだ。
「私は魔物でもただの動物でもないよ。そもそも使い魔という呼称はシャロがそうしているだけであって、特別な意味合いなどないよ」
「あれ、そうなの?」
それならそれで、ますます何者なんだって話にはなるんだけどな。
「私の存在を簡単に説明するのであれば、精神生命体ということになるね」
「ほう、精神生命体。ってことはライカは精霊なのか」
猫の精霊って考えるとなんか可愛いな。でも確か精霊ってこっちじゃかなり珍しいんじゃなかったっけ?
「精霊?」
「ん? あれ、違った?」
「……まぁ、間違ってはいないね」
何か歯切れが悪い感じだけど、精霊とは微妙に違うのかな? 間違ってはいないって言ってるぐらいだから見当違いってわけでもないみたいだけど。
……あれ? というか、ライカが精霊みたいな存在なのだとしたら、なんで俺に見えてるんだ? エルフ娘たちが精霊術を使った時には一切その存在を感知できなかったはずなんだけど。
「なぁライカ、ちょっと質問なんだけど」
「なんだい?」
「あのさ、この前エルフと一緒に行動した時のことなんだけど、そのエルフが精霊術を発動させた時には、微精霊の気配とか姿をまるで知覚することができなかったんだけど、なんで同じ精神生命体のライカの姿が俺に見えてるんだろう?」
そもそも俺の認識が間違っていて、微精霊は存在自体が持つ力のようなものが小さ過ぎるから存在を認知できなかっただけで、それよりも大きな存在である精霊か、それに類するものなら一般人でも普通に感知できるのか?
「確かに精神生命体の姿を捉えることは、それができる種族か特別な力を持った者に限定されるが、お前に私が見える理由なんて決まっているだろう」
「え?」
「それはお前が、私やシャロと同じく――」