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訓練(槍)

「じゃあアスマ、さっきのアンの動きをゆっくりでいいから再現してみようか」

「あれをか? 俺、宙返りなんてできないぞ?」

「いや、あれは真似しなくていいよ。まずは連続突きから始めて、その後は踏み込んで横薙ぎ、最後に上段からの振り下ろしで」

「うぃっす」


 まぁ、とりあえずやってみるか。

 正直あの攻防を見せられた後じゃ、俺の拙い動きが余計に悪目立ちしそうで嫌なんだけどな。

 えっと、まずは構えか。

 これは印象に強く残ってるから分かる。

 右手は顔の辺り、左手は胸の下辺り、穂が地面すれすれだろ。

 ……何か自分でやると違和感があるな。この構えはアンネローゼのものであって俺には合ってないのもしれないな。


「あのさ、ちょっとこの構え変えていいか?」

「いいよー。アー君好みにいじっちゃいなよー」


 ……こんなにあっさりオーケーがもらえるとは思わなかったな。

 やっぱり人の構えを真似るよりは自分に適した構えをとる方がいいってことなのかな?

 じゃあちょっと調整してみるか。

 うーん、そうだな両手とももう少し下の方がしっくりくるかな。

 右手が胸の辺り、左手が腰の辺り、膝ももう少し曲げて、腰ももう少し深く落とす。

 うん。いい感じだな。さっきよりもしっかりと力が入る。

 いつも素振りをする時は動くことを想定していないから両足を肩幅ぐらいに開いて、どっしり構えて突いてるだけだからな。

 初動を素早くするためにはこれが今の俺には最適かもしれない。


「じゃあこれでいってみるな」

「ういういー。アー君のカッコいいところ見てるからねー。ガンバれー」


 ……プレッシャーかけないでもらえるかな君。

 あとそんなに注目されると恥ずかしいからやめて。

 あー、気にするな。集中集中。

 ……よし。

 まずは、前方に敵がいることを想定して、距離を詰めるために走り出す。

 槍の穂の重さを利用して、重心を前に倒し加速する。

 そして、槍の間合いに入ったら突く。

 イメージするのはアンネローゼが放ったあの、滑らかで鋭い完成された突きだ。

 あの子はどう動いてた?

 正直動きが速すぎて細かい動作は分からなかったけど、全体の動きはなんとなく掴めている。

 腕だけじゃなく全身を使って、力強く、自然に送り出すように。

 放つ。

 

「ふっ!」


 全身の力が乗った槍で空を突いた瞬間、風切り音が鳴り、それと共に槍が手からすっぽ抜けて飛んでいった。


「あっ」


 ……えー。そこですっぽ抜けるかよ。

 飛んでいった先に人が居なかったのは良かったけど、今のかなりいい感じの手応えを感じたんだけどな。


「あはははは! アー君、おもしろいー! 今のすっごくよかったよー! ぴゅーんって! ぴゅーんって!」

「あはは。うん、まぁそういう時もあるよ。気を落とさずにもう一度やってみよう」

「……あ、はい」


 さっきまではかなり集中できてたから良かったけど、もう完全に集中力が切れちゃってるうえに、なんかこのいたたまれない空気の中でもう一回やれって?

 どんな拷問だよそれ。

 つーかアンネローゼ笑いすぎだろ。

 もうやだ、お家帰りたい。

アスマ君はいつになったら魔物と戦えるのか…

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