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ウルフ6

 頭の中に現状俺が使えるスキルを羅列していく。

 それらの効果、使用感を思い浮かべ、いずれかを駆使することでこの状況を打破できないか思案する。

 ……あ。もしかしたら、《不動》を使えばどうにかなるかもしれない。

 普通に発動させただけじゃ効果が切れた瞬間にウルフの噛み付きの餌食になるだろうが、こういう使い方ができるのであれば、上手くいけばもう一体仕留められる可能性はある。

 こんな使い方は試したことがないのでできるという保証はないが、これ以外にこの状況を無傷で乗り切る方法を思いつかない以上はこれが今俺にできる最善のはずだ。

 捨て身覚悟の特攻ならば、いくらでもこいつらを倒す手段はあるが、それでは意味がない。クレアをできるだけ危険に晒さないというのが、今の俺の最重要課題なんだから。

 でも、この方法を試すには少し距離を取る必要があるので、また足に負担を掛けてしまうことになるが、《力の収束》を発動させ、後方へと一気に飛び退く。

 俺が距離を取ったことで、それを逃すまいとウルフたちが追走してくるが、先程自分たちの仲間がやられた時の経験から学んだのか、猪突猛進することなく動きに余裕を残した走りで、こちらとの距離を詰めに掛かってきた。

 まぁ、そうなるよな。でも、ここまでは予想通りだ。後はこれが上手くいくかどうかに全てが掛かっている。

 地面を踏み締め、前傾に体を倒す。


 『アクティブスキル《力の収束》発動』


 地を踏み抜かんばかりに地面を蹴り上げ、一瞬でウルフの目前まで跳躍する。

 が、瞬時にそれを察知したウルフは、真横にその身を踊らせ、俺の進行方向上から逃れる。

 ウルフが直線上から逃れたことで、俺の体はその横を通り抜けるように勢い良く前進し続けるが、俺はクレアを自分に密着させるように一際強く抱きかかえると、ウルフの真横に到達した直後にスキルを発動させる。


 『アクティブスキル《不動》発動』


 その瞬間、俺の体を前へと押し出していた慣性力が突如として消え失せ、俺の動きがその場でぴたりと一切停止した。

 だが、次の瞬間空中で止まっていた俺の体が重力に引かれ、真下に落ちる。足が地面に着くと同時に、真横に跳躍し動きを止めていたウルフへ肉薄すると、驚いたような気配を覗かせていたが、動く暇を与えずに上段から振り下ろした蹴りを頭部に叩き込む。


 「っら!」


 蹴りを受け、地面にその身を沈めたところに追い討ちで首を全力で踏みつけ、その骨を折り砕き、完全に動きを止めたウルフを見下ろし安堵の息を漏らす。

 《不動》の効果は俺自身の存在をその場に固定することで外的干渉を一切遮断するというものだったので、普通では防ぎきれないような攻撃に対しての防御手段としか認識していなかったが、その場に存在を固定するというのならさっきのような使い方もできるんじゃないかと思い試してみたが、何とか上手くいったので一安心だ。

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