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ミリオvsガルム

 と、思考の海に埋没している間に二人の戦闘準備は終わっていたようで、視線を前に向けるとミリオが左手に弓を右手に矢を持ちそれを構え、ガルムリードがその剛拳を構え睨み合っているところだった。

 ミリオが地面を踏み締めるように足を僅かに動かすと、ガルムリードはそれに合わせるように僅かに身動ぎをし。ガルムリードが拳を僅かに上下させると、ミリオが僅かに挙動を見せる。

 といったように、お互いが中々動きを見せずに、細かな動きで相手を牽制し両者の睨み合いは続いている。

 だが、それに痺れを切らしたのか、ガルムリードは構えを解く。


 「やめだ」


 そう言うと、一度仕切り直すかのように首を左右に捻り骨を鳴らし、手足を解すように関節を回し始めた。


 「どぉにもこういう腹の探り合いってのは俺の性に合わねぇ。だからよぉ……」


 ガルムリードは地面に沈み込むように膝を屈め、両の拳を地面に押しつけ前傾姿勢を取る。


 「真っ正面からやり合おうぜっ!」


 ガルムリードはそのまま地面を猛烈な脚力で蹴り上げ、一足飛びにミリオの懐に飛び込む。

 つもりだったはずだ、が。


 「《アースピット》」


 ガルムリードが飛び出そうとしたその瞬間に、ミリオが土魔術のアースピットを発動させガルムリードの足元に浅い穴を作った。


 「はっ?」


 それにより、不自然に地面を蹴り上げたガルムリードの体はつんのめるように前方へ投げ出される。


 「《エンチャントエレメント》」


 更にミリオは弓につがえた矢に魔術を付与すると、それをガルムリードへ目掛け放つ。


 「《サンダーショット》」


 雷魔術を付与された矢は鏃に雷光を纏い、一直線に空中を翔ける。それはまるで流星のように光の尾を引きガルムリードへと迫った。


 「んなろぉがっ!」


 それを鋭敏に察知したのか、ガルムリードは拳を地面に叩きつけ強引に体を跳ね起こしてかわすが、そこへミリオはもう一度同種の矢を放つ。空中では二射目をかわすことができず、咄嗟に腕甲でその矢を防いだガルムリードだったが、矢が腕甲に触れた瞬間、鏃から解放された雷撃は腕甲を貫き、ガルムリードの全身を駆け抜けた。


 「ぁがっ……!?」


 雷撃を受けたガルムリードは空中で全身を跳ねさせると、そのまま地面に落ちた。だが、痺れの残っているであろう体に鞭を打ち、即座に立ち上がる。

 が、矢を放った直後に駆け出していたミリオは短剣を引き抜き、既にガルムリードとの距離を詰め始めている。

 それを見たガルムリードは、鋭く、しかし大きく息を吸い込む。

 あの挙動は、もしかして咆哮の予備動作なのだろうか。そうだとすればミリオは少しまずい状況かもしれない。咆哮の直撃を浴びてしまえば体が硬直してしまい身動きが取れなくなってしまう。そうなればガルムリードは容赦なく全力の一撃をミリオへ放つだろう。

 ここまでの戦闘は圧倒的にミリオが優勢で進んでいたが、もしかするとガルムリードの逆転する可能性が出てきたかもしれない。

 そして、眼前までミリオが迫った瞬間、ガルムリードは口を大きく開きある程度離れた場所にいる俺の体まで震わせるほどの咆哮を放った。


 「《アースウォール》」

 「――ガァッ!!」


 直前、ミリオは土魔術で自分とガルムリードの間に土壁を出現させ咆哮の直撃を防いだ。


 「君にこれがあることはアスマから聞いて知ってたよ。だから対策は用意しておいた。でも、想像以上だったよ。まさか、壁越しでも少し体が震えるとは思わなかった。でも」


 ミリオは土壁を魔術で取り除き、正面から唖然としているガルムリードに近づくとその首筋に短剣を突きつけ。


 「僕の勝ちだね」


 笑顔でそう宣言した。

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