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戦闘順

 「っし。じゃあ、どっちからやるよ?俺ぁどっちが先でもいいぜ?」


 戦闘意欲を溢れさせるガルムリードが、両の拳を突き合わせ、ぶつけ合うことで金属音が辺りに響き渡り、掌を上に向け差し出し、二人を挑発するように手招きしている。


 「はい!アンが先にやるー!」


 それに意気揚々と手を上げて応えるアンネローゼだったが、ミリオが後ろからその肩に手を掛け、前に出ようとした彼女の動きを止めた。


 「ごめん、アン。僕が先にやっても構わないかな?」


 アンネローゼを制したミリオは、珍しく自分の意見を全面的に押し出す。


 「えー。アンも先にやりたいー」

 「ごめんね。でも、アンの後にやると彼が全力を出せる状態じゃなくなりそうだからさ。それに後でやった方が長い時間戦えるよ?」

 「う?うーん……。分かった。じゃあミー君が先でもいいよー」


 どうやらミリオが先にガルムリードと戦うことになったようだ。でも、アンネローゼと戦ったら全力が出せなくなるっていうのはどういうことなんだろう?


 「ありがとう。先を譲ってもらった代わり、その間アンはアスマと戦ってくれててもいいから」

 「え!いいの!?」

 「おい待て、勝手に決めるなよ」


 そんな話は聞いてない。


 「ダメなのー?」


 そんな潤んだ目で見られてもな。俺だってミリオとガルムリードの戦いを観戦していたい。それにアンネローゼと戦うと、自分との技量の差とか、戦闘勘の違いを見せつけられて自信失くすんだよな。

 ……あ。ガルムリードが全力を出せなくなるって言ってたのもそういう意味なのかな? 確かに、アンネローゼと先に戦ったらそうなってしまう可能性は十分にある。正直、この子の強さは一つどころか二つは格が上だ。俺とミリオにしても強さに差はあるけど、そういう次元の話ですらない。付け入る隙がまるで見当たらない。しかも、戦う度にその差が広がっているような気がするほどの成長速度でまだまだ強くなっている。

 俺も最初の頃に比べるとかなりの成長をみせたはずなのに、まるで追いつけている気がしない。本当にどうなってるんだろうな?


 「お願いできないかな、アスマ?」


 困ったような笑顔でミリオがこちらにそう頼んでくる。

 ……正直、俺はミリオのその表情に弱い。その顔で頼み事をされると何となく断ろうという気になれなくなる。というか、分かっててやってるだろこいつ。


 「……分かったよ。ただ、二人の戦いを見たいからそれが終わってからな」

 「うん! やったねー! ぶい!」


 まぁ、アンネローゼと戦うことも得るものがないわけじゃないからいいんだけどな。ただそれ以上に俺のSAN値がごっそり削られるけど。

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