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武装

 そして、昼食を食べ終わった後俺たちは連れ立って訓練場へと向かっていた。

 元々今日はお互いの技能を確認し合う予定ではあったので装備は持ってきていたのだが、まさかこんな展開になるとは思っていなかった。

 だが、模擬戦をすることでも目的自体は達成できるのでガルムリードの申し出は、案外都合が良かったのかもしれない。

 そのガルムリードも宿を出る前に自分の武装を携えて出てきた。以前俺と戦った時は素手だったが、今その腕には肩まである大きな腕甲に覆われていた。もしかすると俺の盾よりも頑強なんじゃないかと思うほどの重厚さを覗かせるそれは、攻防どちらにも使うことができそうだ。

 対して、ミリオはいつも通りの短剣と弓を装備しているのだが、アンネローゼは長さが一メートル程度の短槍と二メートル程度の長槍を背中で交差させるように二本吊り下げている。

 今朝家に来た時から気にはなっていたんだが、今日中にその妙技を見られることは確定していたので敢えて何も聞かずにいた。この子はその時の気分次第で割りと持っている武器を変えてくる。だが、長さの違う二本の槍を持ってきたのは初めてのことで、それを使っていったいどんな戦闘を見せてくれるのか今から楽しみだ。

 俺の手を取り隣を歩いているクレアも、同じように後ろからその槍を興味深そうに見つめている。

 そういえばクレアの魔刃は、両手に剣を持った状態でその両方に効果を発揮させることができるんだろうか? 普通ならば剣を両手に一本ずつ持つことは切断力の減少に繋がるんだろうが、魔刃にはそれは当てはまらない。なので、もしそれが可能なんだとすれば、下級の魔物であればたとえどんな相手だろうと、その双刃を持って容易く両断することができるだろう。……末恐ろしいな、まったく。

 というか、今ふと疑問に思ったんだけど、このパーティーの強さの序列ってどうなんだろ?

 下からクレア、俺なのは確定として。やっぱり一番強いのはアンネローゼかな? でも、ミリオとガルムリードならどっちの方が強いんだろう?

 俺の記憶の中にある、ミリオ、ガルムリードと戦った時の感覚では、若干の差でガルムリードに軍配が上がるような気がするが……。

 そうして、あれこれと考えているうちに、皆の足が止まったので意識を周囲に向けてみるといつの間にか訓練場へと到着していた。

 と、手を引かれる感覚を受け隣を見ると、クレアが首を傾げてこちらを見上げていた。

 

 『アスマ君? どうしたの?』

 「ん、あーいや、何でもない。ちょっと考え事してただけだ」


 手を繋いでいる方とは逆の手で頭を撫でながらそう答えると、クレアは気持ち良さそうに目を細めて安らいだ表情を見せた。

 ……何か最近こうやってクレアの髪を撫でるのが癖になってきたような気がするな。でも、こうしてるとなんとなく俺も気持ちが落ち着いてくるから、どうしても止められないんだよな。もう少し大きくなったら、こういうのも拒否されたりするんだろうか?……それは嫌だな。

 いや、というかそれについては今は置いておこう。

 ミリオとガルムリードのどちらが勝つのか、それは分からないけど、ここまで来たなら後はもう見守るしかないわけだし、自分よりも格上同士の戦いを一切見逃さずに観察させてもらおう。他人の動きを見るのも訓練の内だってゲインさんも言ってたし、精々それを糧にさせてもらうとしよう。

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